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マネジメントの歴史と発展
マネジメント自体の概念は、経営管理の分野から語られる事が多いことをすでに説明しました。
なぜ、経営者視点からマネジメントが語られることが多いのかというと、それはすでに見てきたように、第二次産業革命以降にマネジメントが必要になったことに起因しています。
ここでは、主に経営戦略の観点から、マネジメントと経営戦略の関係性を解説するとともに、そもそものマネジメントの概念の生みの親であるドラッカーに遡って解説していきます。
1 マネジメントの発展の歴史
企業が利益を生み、個人と社会全体に利益を還元するためには、顧客と市場を見定め、マーケティング戦略を練っていく必要があります。
マーケティングは1900年代に生まれた概念で、古い歴史があります。
マーケティングは販売戦略とも呼ばれ、会社が自社の商品・サービスを販売するために必要な行動を指します。
販売戦略を実行に移すためには、顧客のマネジメントをおこない、現実に即したマネジメントをおこなう必要があります。
大量生産・大量消費の資本主義社会は現代で終りを迎えつつあるため、代わりにニーズを持った顧客に自社の商品・サービスを届けるための戦略が必要になりました。
そして、戦略を先述や現場の仕事に細かく落とし込むためには、トップマネジメント⇒ミドルマネジメント⇒ロワーマネジメントの階層が必要になります。
ドラッガーは、時代や組織に関係なくマネジメントが必須であることを語っていますが、それは言葉どおり現実でも起きていることなのです。
2 ドラッカーのマネジメント理論
マネジメントの父と呼ばれているP.F.ドラッカーは、マネジメントを学ぶ上で欠かせない名著『マネジメント』を1973年に発表し、ベストセラーになりました。
彼は証券会社⇒経済記者⇒銀行と様々なキャリアを積み、そのうえで大学で法律等の知識を学びます。
そのうえで、アメリカの企業コンサルタントとして活躍するとともに、マネジメントの概念を成立させた経営学者として名を残しました。
さきほどもご紹介した通り、ドラッカーは、マネジメントを3つの観点で定義しています。
- 自らの組織に特有の目的を果たす
- 仕事を通じて働く人を生かす
- 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する
マネジメントの具体的な手法だけではなく、マネジメントをおこなう戦略やそもそもの意味についても解説されています。
管理職・マネージャークラスとしてキャリアアップを考えているなら、一度は必ず目を通して置きたいビジネス書です。
組織マネジメントの方法と役割とは
ここでは、最も活用しやすい「組織のマネジメント」の方法を説明していきます。あなたも、チームや組織の統制を図るとともに、目標達成に向けて仕組みづくりを担う立場だと思います。
下記のポイントをおさえて、マネジメントの基礎を頭に入れておきましょう。
1 組織の目標を設定する
最初にマネジメントでおこなうことは、組織・チームの目標を設定することです。ロワーマネジメントであれば、ミドルマネジメントで落とし込まれた目標が、最終目標になります。
そのうえで、目標を達成するために「どのような仕事をすれば良いのか?」を明確にします。
そこまでしたら、メンバーに目標と一緒に「やるべき仕事」を共有します。
これで、マネジメント一番目の組織の目標設定は完了です。
2 組織体制を作る
すでにチーム・組織はできていると思いがちですが、ただ人が集まっただけでは、目標を共有しているただの人の集まりに過ぎません。
マネジメントでは、目標を設定し周知した後に、実際におこなう仕事のメンバーに割り振ることで目標を達成する体制づくりをおこなうことが必要です。
しかし、たとえば「月次売上を1000万円達成する」という目標があったとすれば、行うべき仕事は「新規顧客を獲得する」「既存顧客に契約内容を見直してもらう」「前月までの継続的な売上を維持する」の3つが出てきますが、このままではメンバーに仕事を割り振ることは不可能です。
つまり、目標⇒仕事内容(やるべきこと)の次に、「作業」とその作業を担当する人を決定する必要があります。
業務によってどこまで細かく仕事を作業に分解するかは異なりますが、上記の例なら…
- 新規顧客を獲得する⇒Aさん
- 既存顧客の契約内容見直し⇒Bさん
- 前月までの継続売上をキープする⇒Cさん
と、さらにロワーマネジメントできる人材を配分するなどの方法もあります。
3 動機づけをおこなう
仕事を作業に分解し、担当する人を決定した後にやるべきことは、メンバーが仕事をおこなう動機づけになります。
動機づけには様々なものがあります。
たとえば、仕事そのもの達成感を感じさせる工夫をしたり、報酬に反映される仕事であればそれを「見える化」するなどです。
また、上司と部下の関係性を良くしておき、ディスカッションやフィードバックをメンバー間で円滑にできるように組織づくりをしていくことも大切です。
4 評価・フィードバック
月次売上目標を達成するためには、週ごと・半月の評価は欠かせません。
場合によっては、仕事内容の見直しなどを行う必要がありますし、人材配置を最適にする必要があります。
この場合、メンバーの一人ひとりを評価することや、フィードバックしていきます。
仕事内容を作業に分解したら、ひとつひとつの作業について期限を設けておき、「◯日までに〇〇を完了する」としておけば、期日までに評価を決めることができます。
未達成だった場合には、「なぜできなかったのか?」の原因を、メンバー本人と話し合うとともに、組織全体の課題が見つかった場合にはメンバー全員に課題を共有し、解決策を会議します。
作業⇒評価を繰り返すことは、PDCAサイクルと呼ばれることもあります。
5 人材の育成
管理職のうち、ミドルマネジメント・トップマネジメントでは、目標達成は短期だけではなく数年〜数十年の長期的視点で考える必要があります。
この場合、大切なのは人材の育成です。
また、ロワーマネジメントでも、継続的にともに成果を出し続ける必要のある部署やチームでも、人材育成を行う必要があります。
人材育成は一朝一夕ではいきませんが、上司であるあなたが適切な評価・フィードバックをするとともに、目標に対する仕事配分や効率を適切にすることが求められます。
ここまで、「組織マネジメントの方法と役割」を解説してきました。組織マネジメントではなくても、目標を設定して仕事内容を決定、そのうえで作業を最適な配分でおこなうことが必要になります。
マネジメントの基礎をおさえることで、現場でも自分自身のマネジメント方法を見直すことがカンタンになります。
マネジメントを成功させる条件とポイント
ここでは、マネジメントの方法を踏まえたうえで、マネジメントを行うあなたが注意するべきポイントや、成功させる条件として求められるものをご紹介していきます。
1 意思決定は明確におこなうこと
コンフリクトマネジメントの項目で述べたように、組織・チームは必ず意見の対立が発生します。それをケアすることもマネージャーの仕事です。
ただし、目標を達成することが組織であることの意味なのに、メンバー間の仲の良さだけに視点を置いてしまうのはNGです。
そうではなく、あなたが目標達成にとって何が最も最適な手段なのかを、論理的に考えてメンバーに共有することが求められます。
2 コミュニケーション能力を常に意識する
部下と上司の関係性は、各国と比較しても日本がとても悪いことが分かっています。そのため、上司であるあなたは、部下にとって「良い上司」であることが求められます。
しかし、組織は目標を達成するためにあることも同時に意識しておかなくてはなりません。
同じ内容の話をしても、話し方や伝え方を工夫するだけで、受け手への伝わり方がまったく異なる場合があります。マネージャーを担う人は、コミュニケーション能力を向上させる努力も必要です。
3 マネジメント理論を学ぶ
マネジメントは、経験則だけではなく、書籍や教科書、そして人の話から学ぶことができます。
本を読んだだけでマネジメントができるようにはなりませんが、一方で現場の経験だけに頼ってしまうと、間違った方法を自分でしてしまっていることに気づくことができなくなってしまいます。
そのため、経営化学やマネジメント理論については、定期的に学ぶことが大切です。名著と言われるマネジメント書は、上記でご紹介した『マネジメント』以外にも多数あります。
また、マネジメントの種類でご紹介した各マネジメント分野の参考図書もぜひ役立ててください。
マネジメントは企業の現場でどのように活用されているのか?
ここでは、実際にマネジメントがどのような現場・やり方で活用されているのかをご紹介していきます。
生産・業務管理でのKPI(重要業績評価指標)活用事例
経営をスムーズに行うとともに、企業活動を円滑にすすめるためには、KPI(重要業績評価指標)が重要です。
企業現場のマネジメントの一環として、KPIが活用されているかどうかを調査した内閣府のデータがあります。
生産性の高い企業活動を実施し、経営をスムーズに行うためにはKPIの活用が効果的であるという前提のもと、「いくつのKPIを利用していましたか」という調査が実施されました。
参考:「組織マネジメントに関する調査」結果(概要) – 内閣府
この図をみるとよくわかりますが、2010年から2015年にかけて、KPIを利用している企業が増加していることが分かります。
マネジメントでは、「仕事内容」を作業に細かく分解し配分することが大切であることを解説しましたが、評価・フィードバックをしやすくするためにKPIを定めると、業務効率の改善に繋がることが分かります。
そのほかにも、「組織マネジメントに関する調査」では、下記のような調査が行われています。
① 目標を達成するためのKPI(重要業績評価指標)の活用、生産・業務管理の在り方
② 生産・売上目標の難易度、従業員への浸透度
③ 従業員の実績の評価の基準
④ 採用や賃上げなどの意思決定が分権的か集権的か
⑤ 意思決定におけるデータ利用の度合いや情報源、活用分野
⑥ 専門的人材の活用
引用:「組織マネジメントに関する調査」結果(概要) – 内閣府
企業現場全体の傾向をつかむことで、ミドルマネジメント〜ロワーマネジメントで解決すべきマネジメントの課題も見えてくるようになります。
もしマネジメントの課題にぶつかったら、一次情報に触れたうえで、解決できる理論やケーススタディがないかを調べることが大切です。
次に、管理職として働いている/これから働くあなたが考えるべきことについて、ご紹介していきます。
マネージャーとしてどんなスピードで成長したいかを考える
マネージャークラスで働く経験を積むことは、転職市場でもかなり有利になるスキルです。事実として、30代以降の転職では、「マネージャー」としての中途採用枠が多く用意されています。
今現在、すでに管理職として働いている方や、これから管理職になろうと考えている方は、下記のような悩みを持っていないでしょうか?
- 名ばかり管理職で大きな仕事を任せられることはない
- 企業体質・企業風土が自分に合わないと感じている
- 部下・同僚との関係性が良好ではない
- ほかの業界・職種/業種で仕事をしたい
- 今よりも年収アップを目指したい
このような悩みを抱えている場合には、今の職場ではなく、ほかの現場で活躍することを考えてみるべきかもしれません。
日系企業では、現実としてまだまだ終身雇用、年功序列型の体制が残る企業も多いので、思うように昇進できないというケースもあります。
早い段階で年収アップやキャリアアップを考えている方は、ほかの企業や業界へキャリアチェンジすることもぜひ検討してみましょう。
転職したい?希望条件の転職先を探すための方法とコツ
ここでは、転職を具体的に検討している方に向けて、転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
1 転職サイト選びは慎重におこなう
これから転職活動を少しでも始めたいと考えている方の中には、まだ実際に求人情報を探し始めていない方も多いと思います。
転職活動でいちばん大切なことは「どうやって転職求人を探すのか?」ということです。
しかし、転職サイトといっても様々なものがありますし、利用できる転職者のターゲットや、効果的な活用法が異なります。
転職サイト選びに悩んでしまう理由は、「そもそもなぜ転職サイトを使うべきなのか?」という根本が分からないからです。
下記記事では、転職サイトのランキングをご紹介しつつ、効果的な活用法や注意点について解説しています。
転職サイトを通じて求人を探したい方は、ぜひ下記記事を参考にして、自分に合った転職サイトを見つけてみてください。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 転職活動の全体の流れをおさえ、余計な不安を解消する
転職活動を初めたいけど、なぜか不安…そんなふうに思っている人が最初にやるべきことは、転職活動の全体の流れをおさえること。
たとえば、料理をするときは、レシピを全体を見て必要な材料を揃え、作り方の流れをある程度覚えてから実際に作り始めますよね。
それと同様に、転職活動も全体の流れを通して学び、その上で実際に始めることで、成功率が格段にアップします。
余計な不安を感じずに、前向きに転職活動をしたいなら、まずは転職活動の基礎知識を学びましょう。
おすすめ記事:【全知識】転職活動のやり方・期間・面接対策・必要書類まとめ!
3 転職が初めてなら、「転職エージェント」を使うべき!
転職活動の流れは知っているけど、それでもまだまだ転職は不安…そう感じてしまう人もいるのではないでしょうか?
頭では分かっていても、実際に転職に踏み出す勇気がなかなか出ない人もいるでしょう。また、単純に仕事が忙しく、転職したいけどできないという方もいると思います。
ただ、そんな人でも転職活動をおこなうことは可能です。
忙しい人や一人で転職活動を始めるのが不安な方は、求人紹介や転職相談、面接対策や日程調整まで様々なサポートを無料でしてくれる「転職エージェント」を活用しましょう。
在職中に転職活動を始めれば、リスク無しで好条件の求人を探すことができます。
もちろん、良い転職先が見つからないのであればムリに転職先を選ぶ必要はありません。
下記記事では、あなたにおすすめの転職エージェントが見つかるよう、転職エージェントランキングをご紹介しています。
ぜひ、自分に合った転職エージェントを見つけてください。
おすすめ記事:おすすめ転職エージェントランキング!選び方や注意点・活用法まとめ
まとめ|用語を使いこなそう!
今回は、「マネジメント」という言葉の定義と意味、ビジネスで使われるマネジメントの様々な種類をご紹介したあと、マネジメントのうち最も使うことの多い「組織マネジメント」の方法を解説してきました。
マネジメントの意味や定義を実践を通して理解することが何よりも大切。
管理職・マネージャーとしてこれからキャリアアップを考えるなら、日々の業務の中でマネジメント手法を実践していけるように、この記事を参考にしてください。