「マネジメント」という言葉は、主に管理職やチームリーダーとして業務をおこなうようになると頻繁に出てくる用語です。
しかし、マネジメントという言葉がどんな意味・定義を指しているのか「実際のところよく分からない!」と感じている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「マネジメント」という言葉の定義と意味、ビジネスで使われるマネジメントの様々な種類をご紹介したあと、マネジメントのうち最も使うことの多い「組織マネジメント」の方法を解説していきます。
管理職にこれからなる方やチームリーダー、プロジェクトマネージャー、そして若手管理職の方は、ぜひ今回の記事を参考にして頂き、実務での実践に役立ててください。
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マネジメントの意味とは?
マネジメントという言葉・概念には、どのような意味・定義があるのでしょうか?
マネジメントの具体的な種類について見ていく前に、まず最初にマネジメントの基礎的な意味・定義を確認していきましょう。
後々説明するようにマネジメントといっても「〇〇マネジメント」と様々な用法があり、概念もそれぞれ異なるので、一度基礎を覚えてから確認するのが良いでしょう。
マネジメントとは?|意味・役割
マネジメントとは、「管理」という日本語が当てられることが多いビジネス用語です。
一般的には、組織・会社・チームの目標を設定し、目標達成のために組織・会社・チームの資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を効果的に配分することや、考えられうるリスクを取り除く業務のことを言います。
マネジメント【英】management
マネジメントとは、計画-組織-統制の一連の活動。企業に導入されれば経営管理。しかし、マネジメントは役所、学校、政党のような組織体にも不可欠である。マネジメントには、マネジメント機能が必要であるが、マネジメント機能は計画-実行-審査(plan-do-see)の循環であると解説している。計画を立て、実行し、その結果を比較・分析・審査することによって、つぎの計画をより合理的にたてるよう配慮するといった考えや態度、やり方である。
P.F.ドラッカーが定める「マネジメント」の意味とは
また、「マネジメントの父」として著名なP.F.ドラッカーは、その著書『マネジメント』において、マネジメントを下記のような3つの観点から役割を定めています。
- 自らの組織に特有の目的を果たす
- 仕事を通じて働く人を生かす
- 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する
マネジメントは「経営管理」と訳されたり、使用されることが多かったりする用語ですが、会社の経営層がおこなうものだけではありません。
自治体や病院、その他公的機関も、社内のプロジェクトチームも、必ずマネジメントをする必要が出てきます。
組織に属する個人の自己実現と、組織自体の目的の達成、そして組織がもたらす利益による社会貢献の3つをするためにマネジメントがあるのだ、ということを、P.F.ドラッカーは著書の中で述べています。
マネジメントの定義
マネジメントには、先ほどまで見てきたように辞書・著者・現場で様々な用法・使い方があるため、すべてに適用できる明確な定義があるわけではありません。
ただし、「経営管理論」と呼ばれる理論からすると、マネジメント理論には管理業務以外にも、様々な要素が含まれています。
ときには、「リーダーシップ」と密接に関わったり、業務範囲が重なったりすることもあります。どちらも、組織運営において欠かせない活動です。
マネジメントの目標
マネジメントすることの最終目標は、「組織に目標を設定して達成するための体制を作ること」です。
目標を達成して社会・個人に利益をもたらすために様々な役割を担います。
ただし、和訳される「管理」だけがマネジメントなのではないことに注意が必要です。管理は主として「逸脱しないように統制を取ること」とされますが、マネジメントの役割はそれだけではありません。
マネージャーとは?
マネジメントは必ず実行者がいて初めて成立する概念です。その実行者こそが「マネージャー」です。
この記事を読んでいる方も、これまでの経験の中でマネージャー立ち位置になった方がほとんどだと思います。
たとえば、家族をお持ちの方であっても、町内会の長であっても、人が3人以上属しているコミュニティであれば必ずマネジメントが必要になります。
マネージャーは、ドラッカーの言葉を借りると「組織の成果に責任を持つ立場」です。
適切な配置で成果を出せるように人や予算などの配分を決めるだけではなく、そこで働く人の評価や、人材育成を行う必要があります。リーダーシップもそこに含まれる場合があるでしょう。
マネジメントとリーダーシップの違いとは?
では、マネジメントとリーダーシップにはどのような違いがあるのでしょうか?
ドラッカーのマネジメントを参考にすると、リーダーシップはマネジメントをおこなううえでのひとつの手法になるという考え方が合っているでしょう。
ここで、マネジメントとリーダーシップの2つの違いについてまとめます。
- マネジメント⇒設定された目標をどんな手段で目標を達成するかまで管理する。
- リーダーシップ⇒目標を設定するための戦略策定と結果を示す役割を担う。
マネジメントの観点から組織の最終目標を決めるうえでは、人から信頼されたり、結果を数値・事実ベースで分かりやすく示すリーダーシップが必要です。
動機づけは仕事をするうえで重要なポイントで、能力のある部下をどのような業務配分で振り分けるかを決めても、実際にリーダーシップを示すことでモチベーションを増してもらうことが大切です。
マネジメントと「管理」の違い
マネジメントを解説する中で、「管理」という言葉も多用されることをすでにお話しました。
管理という言葉には、下記のような意味合いがあります。
かん‐り〔クワン‐〕【管理】[名](スル)
1 ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。「品質を管理する」「健康管理」「管理教育」
2 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。「管理の行き届いたマンション」「生産管理」
3 法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること。
一般的に、管理という言葉が持つイメージは、「人員の責任・権限範囲を限定することで組織の統制を図ること」にあります。
ただ、すでに見てきたように、マネジメントは目標のために前進するリーダーシップの側面が求められるため、「マネジメント=管理」には決してならないのです。
今後、当記事以外でもマネジメント手法や管理業務について具体的なノウハウを学ぶ機会はたくさんあると思います。
管理とマネジメントの違いを認識しておくことで、マネジメントのやり方を履き違えるリスクを取り除くことができます。
マネジメントとマネージメントの違い
最後に余談ですが、マネジメントにはカタカナ英語として2つの表記ゆれが存在します。
それが「マネージメント(Management)」という表記です。
ネイティブ発音上は「マネジメント」のほうが正しいのですが、「マネージャー」は「ネー」と伸ばすのが習慣になっていますよね。
こういったビジネス用語の表記ゆれは、マネジメントくらい有名な単語だと混同することがありませんが、ほかのビジネス用語にもある場合があります。
単語を調べたり、用語事例を参考にするときは、和製英語の表記ゆれに注意しましょう。
ここまで、マネジメントの意味や役割、目的について見てきました。また、それと同時に、リーダーシップとの関係性や、マネージャーの意味についても参考にしてきました。
次は、マネジメントの用法や使い方を学んでいきます。
「〇〇マネジメント」と、世の中には様々なマネジメントの概念があるため、まずはそれらをざっくりと理解していきましょう。
マネジメントの用法・使い方の具体例
マネジメントには、「〇〇マネジメント」と様々な用法・概念があります。担当する業務や業界・職種/業種によっては、同じマネジメントでも意味するところがまったく違うことがあります。
たとえば、あなたが管理職向けのWeb記事を読んでいるとします。
「マネジメント」のテーマで書かれている記事を読むと、あなたが考えているマネジメントと、記事中に書かれているマネジメントの意味や用法が違うこともあるため、注意が必要です。
特に、具体的なノウハウ形式の記事やビジネス書で書かれていることの中には、良質で具体的なものが沢山ある分、あなたの実務ベースで活用することが難しいことが多いです。
そのため、まずはマネジメントの様々な種類・用法について学ぶことが大切です。
マネジメントには階層がある
マネジメントの種類を見ていく前に、マネジメントには組織の階層ごとに様々なものがあることを知っておきます。マネジメントは、階層ごとの役割に応じて3つのカテゴリに分類されます。
マネジメント階層ごとの3つの分類
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ロワーマネジメント
上記3つのマネジメント階層について解説していきます。
Ⅰ トップマネジメント
トップマネジメントとは、会社経営陣や組織の運営トップがおこなうマネジメントのことを指します。この場合のマネジメントは「経営管理」と表現することができます。
トップマネジメントは、会社組織であれば経営者・取締役会の役員、そして会社組織の各部門の長がおこなうマネジメントで、大組織を動かす骨組みとなるものです。
組織全体の方針・目標を決定したうえで、その目標を達成するための資源(リソース)配分をおこない、各マネージャーの役割を担うメンバーが取り仕切って行きます。
よく、プロジェクト責任者やマネジメントをする役割を担う若手社員に「経営目線で考えろ」というケースがありますが、これもトップ層の考えている視点からマネジメントを考えろという意味に取ることができるでしょう。
Ⅱ ミドルマネジメント
ミドルマネジメントは、この記事を読んでいる方のほとんどがすでに担っている地位のマネジメントを指します。いわゆる「中間管理職」が担うマネジメントです。
部長・課長などの役職クラスは、トップマネジメントで定めた全社的な目標と方針を理解したうえで、それを現実的にどう現場に落としこんでいくかを考え実行します。
つまり、現場で実際に仕事をするプレイヤーと、幹部クラスの全社的マネージャー視点を両方持ち合わせておく必要があるため、「板挟みに合う」という悩みが一番多い役職になっています。
Ⅲ ロワーマネジメント
最も現場に近い係長・主任、プロジェクトリーダー、チームリーダーが担うマネジメントがロワーマネジメントです。
実際に手を動かす社員を実質的に取りまとめる役割を担うため、ほとんどの方が「プレイングマネージャー」です。
つまり、自分の業務範囲を実行しながらプロジェクトの進捗を確認し、トラブルが発生した場合は即座に上長に連絡・相談する必要があります。
ミドルマネジメントで決められた具体的な目標をもとに、それを現場の人材と予算でどのように達成するのかを考える必要があります。
ロワーマネジメントでは、チームメンバーや部下のモチベーションを管理したり、動機づけをおこなったり、場合によってはフォロー、フィードバックをする必要性も出てきます。
どんなマネジメントであっても、トップ・ミドル・ロワーに分かれることがほとんどです。
では、マネジメントの様々な種類・概念について見ていきます。
1 リスクマネジメント/クライシスマネジメント
マネジメントの種類の中でも、特にほかのマネジメントより緊急性の高いマネジメント手法が、「リスクマネジメント」と「クライシス・マネジメント」です。
リスクマネジメントは、「組織が目標を達成する上で伴う様々な危険を最小範囲・費用で食い止めるマネジメント」のことを指します。
①営業活動に伴うさまざまな危険を最小の費用で食い止める経営管理活動。 RM 。② リスク-アセスメントの結果に基づいて、危険度を一定値以下に抑えるために管理(禁止を含む)する手法。放射線・化学物質などの利用・管理や、リスク一般、広くは社会システムや制度がもつリスク管理をもいう。危険度管理。 RM 。 → リスク-アセスメント
引用:リスクマネジメント【risk management】 – 大辞林 第三版 コトバンク
一方、クライシスマネジメントとは、リスクマネジメントをおこなわなければならないトラブル・課題のうち、特に組織存続に直接影響するような課題に対するマネジメントをいいます。
「クライシスマネジメント」とは、企業が事業継続や組織そのものの存続を脅かすような危機的状況(クライシス:crisis)に直面した際に、組織としてその被害を最小限に抑えるために行う一連の活動および対処法のことです。発生の確率は低いものの、ひとたび起これば組織への影響が甚だしい重大なリスク――例えば地震、噴火などの大規模災害や戦争、テロ、風評といった危急存亡の非常事態を対象とした、企業のリスクマネジメントの一部と解釈されています。
引用:クライシスマネジメント – 人事労務用語辞典 コトバンク
部下のミスや失敗といったことを回避するなど、現場でのほとんどはリスクマネジメントになりますが、全社的な目標や方針を掲げるトップマネジメントでは、クライシスマネジメントをおこなう必要が出てきます。
2 第二次産業革命時のマネジメント(モノのマネジメント)
歴史は少し遡りますが、マネジメントには長い歴史があり、現代社会の企業組織が成立する前からマネジメントと呼ばれる活動は行われていました。
その特徴が分かるのは、19世紀後半からイギリスで起きた「第二次産業革命」です。
それ以前の時代にも製品の生産・販売は行われていましたが、今のようにサプライチェーンの仕組みもありませんし、ひとつの組織内でのモノの生産効率を上げるシステムはまったくといっていいほど整っていませんでした。
第二次産業革命以降は、モノの標準化の概念が成立することで、生産するための手段・手順(フロー)そして単位時間あたりの生産性の向上が図られます。
モノの生産性が向上したことが、ほかのリソース(ヒト・カネ・情報)の管理や効率化を推し進める要因になったとも言えます。
3 ヒト・カネ・情報のマネジメント
現代の日本は少子高齢社会が進み、グローバルの視点から見ても労働人口の現象が先進国では非常に問題になっています。
しかし、労働者のマネジメントが実質的に行われたのはそれほど早くなく、20世紀初頭までは、経営学者・フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」などが広まっただけで、ヒトに対する経営管理の手法はそれほど充実していなかったと言われることもあります。
また、市場経済が発展したことによってカネのマネジメントも多種多様な様相を呈して来ており、マネジメント手法は専門分野に特化して発展してきているといえます。
それに加え、「情報」は従来組織のリソースの計算に入っていませんでしたが、2000年代前半に起きた「ITバブル」「IT革命」は、企業の経営にも情報の影響が強くなる原因になり、情報のマネジメントが重要になりました。
マネジメントの種類が、組織運営だけではなく人材管理やメンタルヘルスに細分化されているのは、マネジメントの範囲が時代に合わせて広がっていったことを示しています。
4 組織運営のマネジメント
組織運営のマネジメントは、マネジメントの種類の中でも特に一般的なマネジメント手法です。ほとんどの場合、マネジメントというとこの組織運営のマネジメントを指します。
次に組織運営マネジメントのそれぞれの種類について学んでいきます。
Ⅰ コンフリクトマネジメント
コンフリクトとは「意見や利害の対立・衝突」を表す意味の単語です。組織は様々な人材が同じ目標に向かって自身の役割を担うため、ときには組織内で対立や衝突が発生することがあります。
しかし、対立や衝突は弊害だけではなくメリットもあります。対立がある問題・課題をアイディアを駆使して解決することができれば、現状からさらに目標までステップアップすることが可能になります。
参考:人と組織を強くする交渉力〔第3版〕 (あらゆる紛争をWin-Winで解決する協調的交渉術) – 自由国民社
Ⅱ チームマネジメント
組織・チームメンバーを統括して、同じ目標を達成するための視座を持つためには、部下とのコミュニケーションや動機づけが重要です。
リーダーシップが求められる場合のマネジメントは、このチームマネジメントのことを指します。
リーダーシップというと、「カリスマ性・才能」のような視点で語られることが多いですが、マネジメント手法を学ぶことで、実践的なリーダーシップを身につけることができます。
参考:「サーバントリーダーシップ」をみにつけるための10の方法 – IKIKATA
Ⅲ チェンジマネジメント
組織の課題を抜本的に解決することは簡単ではありません。
たとえ計画が綿密に練られていたとしても、組織で働くメンバーや部下を納得させたり、説得させたりする必要が出てきます。
チェンジマネジメントでは、部下・メンバーに対するサポート以外にも様々なマネジメント手法が含まれますが、主にチェンジマネジメントとして活用されているのは人に対するサポートになります。
参考:チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ! (はじめて読むドラッカー (マネジメント編)) – ダイヤモンド社
Ⅳ ナレッジマネジメント
組織の一人ひとりが持っている知識と経験・スキルを有効に活用することがナレッジマネジメントです。
たとえば、メンバーのうち誰か1人が今の課題を解決する手段を知っているとすれば、それをチームメンバーで共有し、具体的な解決策として提示していく必要があります。
そうするとことで、組織全体のパフォーマンスが向上し、目標の達成に一歩近づくことができます。また、リスクマネジメントの一環として、組織メンバーの知見が必要になることもあるでしょう。
Ⅴ プロジェクトマネジメント
組織で設定しているプロジェクトの目標を達成するためのマネジメントです。
これも一般的なマネジメントで、各メンバーに配分した仕事の進捗率や配置、スケジュールなどを計画と照らし合わせてチェックしていきます。
参考:「プロジェクトマネジメント」実践講座 – 日本実業出版社
5 人材管理(マネジメント)
人材管理もマネジメントの一分野になります。
特に近年では、組織の中で個人の評価を明確におこなうことが大切な時代です。よって、人材のマネジメントもこれまで以上に必要になってきます。
Ⅰ ダイバーシティマネジメント
ダイバーシティとは「多様性」の意味で、ここでは主に組織に属する様々な多様性(例:性別/性自認。属性・出生地・雇用形態など)のことを指します。
グローバル化が進むとともに、国際社会の中でダイバーシティの観点から組織運営を変える企業が増えてきています。
様々な国・職能・雇用形態の人材を活用することで、より利益を上げることができますし、企業文化や制度をよりグローバルな視野に広げるためにも重要なマネジメントです。
Ⅱ タレントマネジメント
タレント・マネジメントとは、人材マネジメント手法のひとつで、自社の優秀な人材の位置付けを最も適切な配置で育成することができるように、人材のスキルの明確化をおこなうマネジメントになります。
参考:タレントマネジメント概論—人と組織を活性化させる人材マネジメント施策 – ダイヤモンド社
Ⅲ パフォーマンスマネジメント/モチベーションマネジメント
社員のスキル向上やモチベーション向上を達成しながら、組織全体の目標へと進むことができれば、マネジメントの目的のうち2/3を達成したことになります。
そのマネジメント手法を具体的にしたものが、パフォーマンスマネジメントやモチベーションマネジメントです。
参考:パフォーマンスマネジメント―戦略をすべての人の仕事に落とし込む – 東洋経済新報社
参考:モチベーション・マネジメントの真髄 ダイバーシティ時代の部下の束ね方 – PHP研究所
Ⅳ 行動科学マネジメント
行動科学マネジメントも、モチベーションマネジメントと同様に、部下・メンバーのモチベーションをアップさせるマネジメント手法です。
目標を達成したり、より高いレベルの目的を目指すためには、結果を出すためにおこなう「行動」自体を変える必要があります。そしてそのためには、行動を具体的に分析し、改善していくことが欠かせません。
行動科学マネジメントでは、その具体的な手法を学ぶことができます。
参考:短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント – ダイヤモンド社
6 メンタルヘルス・マネジメント
メンタルヘルス・マネジメントとは、組織メンバーの心理や行動を重視した人間関係論をベースに生まれたマネジメント手法です。
より具体的なケアやフォローが必要になるロワーマネジメントで必要になることがマネジメント手法で、いくつかの方法があります。
Ⅰ アンガーマネジメント
アンガーマネジメントは、怒りをコントロールすることをキッカケに、メンバーとの適切なコミュニケーションができるようにするセルフコントロールの技術を指します。
ビジネス面だけではなく日常生活でも取り入れられる個人ベースのマネジメント手法ですが、リーダーシップを発揮する上では、自分や他者の怒りをコントロールして、組織運営を円滑にする必要があります。
参考:アンガーマネジメント入門 (朝日文庫) – 朝日新聞出版
Ⅱ ストレスマネジメント
アンガーマネジメント同様に、個人のストレスやメンバーのストレスをコントロールして、メンバー全体のパフォーマンスを向上させる手法がストレスマネジメントになります。
ストレスマネジメントは、ワークライフバランスの問題やブラック企業問題の解決策の一環としても機能するため、リスクマネジメントとしても効果があるでしょう。
参考:マンガでわかりやすい ストレス・マネジメント―ストレスを味方にする心理術― – きずな出版
7 情報管理(マネジメント)
近年のITの発展とともに、企業のコンプライアンスの側面やセキュリティの側面から、情報に関するマネジメントも必要になっています。
Ⅰ 情報セキュリティマネジメント
多くの顧客データを管理し、マーケティング施策などに活用したり、企業支援のコンサルティング現場で調査に使われたりと、ビッグデータを扱って仕事をする現場も増えてきています。
一方、会社組織に顧客などのプライバシーに関わる情報が含まれる場合があるため、セキュリティの脆弱性はそのまま会社のリスクになります。
その対策として取られる手法が情報セキュリティマネジメントになります。
情報セキュリティマネジメントには、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が運営する「情報セキュリティマネジメント試験 – 情報処理技術者試験」があります。
Ⅱ データマネジメント
企業内に蓄積されている商品・市場データ・顧客データは、会社の資産であるとともに、情報セキュリティマネジメントで見たように大きなリスクにもなり得ます。
ときには、会社の信頼性に関わる自体にも発展します。
リスクを回避するためには、データを取り扱うルールや組織体制を整備することや、人為的ミスを防ぐためのシステム化、アクセス権限の明確化が必要になります。
それをおこなうのがデータマネジメントです。
参考: データマネジメント概説書(JDMC 版): ビジネスとIT をつなぐ-データマネジメントとは – 一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム「データマネジメントの基礎概念を定義する研究会」
5 株式・不動産のマネジメント
カネのマネジメントについてはすでに解説した通りですが、金融、つまりファイナンスの分野におけるマネジメントも必要です。
また、金融だけではなく不動産に関するマネジメント手法もあります。よく用いられるのは下記の2つの用語です。
- アセットマネジメント
- プロパティマネジメント
プロパティマネジメント(Property Management、略称:PM)とは、主に不動産に関する資産の管理を行う業務のことである。 狭義のプロパティ・マネジメントは、投資用不動産の所有者あるいは所有者の資産管理代行業者であるアセット・マネジメント(AM)会社から受託して行う管理業務のことである。
ここまで、様々な観点からマネジメントの階層や種類について見てきました。ここまでざっくりと確認してきたように、マネジメントにも様々な業界・分野で独自の手法が取られています。
あなたも、自身が属す業界・企業で専門的なマネジメントを担う場合には、基礎知識をおさえたうえで実践に落とし込んでいくことが重要になります。
次は、このようなマネジメントが、どのような歴史とともに発展してきたのかを概観していきます。
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