IT・広告業界だけではなく、建築用語・映画・映像業界まで、様々な業界・企業で用いられている「フィックス(FIX)」という言葉。あなたは本当に意味を理解して使っているでしょうか?
また、顧客や取引先から聞いて知らない言葉だと焦って検索した方もいるかもしれませんね。
今回は、分かるようでわかりにくい「フィックス(FIX)」の意味や活用例、注意点などについて解説しています。
用語の意味を知ることで、業務がより効率的になりますし、顧客・取引先とのコミュニケーションも円滑に進むようになります。ぜひ参考にしてください。
INDEX
FIX(フィックス)の意味とは?
最初にフィックス(fix)の一般的な意味を確認しましょう。
英語における「fix(フィックス)」本来の意味
カタカナ語として用いられる「フィックス」ですが、元々の英単語である「fix」が由来になります。
英単語「fix」には下記のように様々な意味があります。まずはざっくりと意味を見ていきましょう。
- 固まる/固定する/固着する
- 人が定住する/腰を据える
- 注意などを向ける/集中させる
- 準備する/用意ができる
- 記憶に〜を留める
- 元の状態に戻す/回復させる/もとどおりにする
- 癒す/治療する
- 直す/修正する/修理する/修繕する
- 調整する/整える/調節する
代表的な意味としては、「固定する」「修正する」「修理する」という意味を持ちます。
自動詞・他動詞、そして名詞など、様々な意味があります。
ビジネス用語「フィックス」の意味とは?
ビジネス用語としての「fix(フィックス)」は、英語版「fix」の代表的な意味である「固定する」「確定する」という意味合いとして主に使われています。
下記はfixの辞書の定義となります。
[名](スル)
1 固定すること。定着させること。
2 日時・場所などを決めること。「次回打ち合わせを明後日の二時でフィックスする」
出典:fix – goo辞書
「日時・場所を決定する」「プロジェクトや仕事の方針が確定する」などでビジネス現場において使われることも多く、会社によって細かな使い方や意味することに違いがあります。
ただし、人力検索はてなの「『フィックス(FIX)』ってどういう意味で使ってる?」という質問では、回答100件のうち47が「確定する」の意味で用いられていることがわかりますが、「修正・調整」の意味合いで用いている人が29となっています。
以上のことから、「プロジェクト内容をフィックスする」といった場合、特定業界や企業によっては「確定なのか?修正なのか?」を文面や言葉から読まなければならず、少し使うのに注意が必要な言葉です。
自分で「フィックス」を用いる場合には、確定する・決定する、修正すると日本語でしっかり伝えたほうが良いかもしれませんね。
フィックスのビジネスシーンでの意味・使い方・用法の具体例
ここでは、「フィックス(FIX)」を用いる具体的なシチュエーションや例をご紹介していきます。
自分が使わない場合でも、同業界の誰かが用いたり、転職後に用語を知っておくことで業務への支障を避けることができるため、気になる方はしっかりおさえておきましょう。
1 フィックスの使い方|未確定のことを確定し、最終的な確認をする場面で使う
顧客や取引先と取り交わすスケジュールや約束、契約を取り付ける前段階や、資料を完成させる前段階など、未確定のものの決定を行う場合に使うフィックスが一般的です。
下記のような例文でおさえておくと理解がしやすいでしょう。
- 会議でプロジェクトメンバーとKPIについてフィックスした。
- 取引先との今後のスケジュール内容についてフィックスした。
- 〇〇はフィックス事項だ。
- フィックス版の企画書だ。
- これからお客様とフィックスする。
…こうみるとフィックスの意味合いが少しわからなくなってしまいますが、「これから決定するもの」「すでに決定したもの」に関して、フィックスと表現することが正しい使い方です。
2 フィックスの使い方|プログラムのデバッグなどでは「修正」の意味合いで使う
「bag fix(バグの修正)」や「資料のフィックス前」など、修正をこれからする必要のあるものについてフィックスと表現する場合がある点に注意します。
IT業界など、制作物を何度も修正する必要があったり、修正するたびにチームメンバー間で連携を取らなければいけないときに、フィックスという言葉を使うこともあるでしょう。
語源的には「修正された状態のもの」を指すため、修正が必要だという意味合いで使ってもあながち間違いではありません。
3 フィックスの使い方|物事を「固定」したいときに使う
ビジネスシーンで論理的に確定するために使うフィックスですが、建築業界や映像業界では、ものを固定するという意味で「フィックス」を用います。
そのため、フィックスと行った場合業界によって何を確定(固定)とするか、その対象は大きく異なります。
フィックスの例文
フィックスの例文|書類をフィックスする
書類をフィックスする、と表現する場合、提出した広告クリエイティブや企画書、プレゼンテーション資料、仕様書、提案内容や共有する議事録などの加筆修正後の資料として確定することを指します。
企業組織により、どれだけの担当者がひとつの資料に関して評価・レビュー・フィードバックを行うかには差がありますが、どの場合でも「書類をフィックスする」という場合には、これ以上加筆修正・削除しないことを表します。
フィックスの例文|スケジュールをフィックスさせる
スケジュールは「仮押さえ」でおおよその日程を決め、両者の予定が確定したのちに「フィックス」となります。ここでいうフィックスは「日程を確定する」という意味です。
フィックスの例文|方針をフィックスする
「方針をフィックスする」とは、あるプロジェクトの目的や商品企画、マーケティング施策などの方針が確定することを指します。
フィックスの例文|条件・要件をフィックスする
契約条件や制作物のすり合わせを行い、「何を作るべきか?」「どんな機能が必要なのか?」「最低限求められる項目は何か?」が決まることを「条件(要件)がフィックスする」と表現します。
この場合、たとえば双方のうち片方の人物が納得しただけではフィックスとはいえず、両者が同じ内容を把握し納得したのちに、決まった手続きに従ってフィックスすることになります。
たとえば、契約書への署名・押印などは、フィックスした証になるでしょう。
フィックスが業界用語で使われる現場・業界はどこ?
ビジネス用語としてたまに使われることがある「フィックス」ですが、特定の業界や業種において多用される一方で、まったく使わない業界・企業ももちろんあります。
これから転職を考えている方や職場が変わる方のうち、下記の業界で働き始める方は今のうちにフィックスの意味合いや業界内で使われるタイミングを覚えておきましょう。
1 IT業界におけるフィックス
IT業界のうち、ソフトウェア開発を請け負う企業や自社サービスを展開する企業では、バグや不具合を治す業務上で「フィックス」を活用する機会があるかもしれません。
ソフトウェア開発などで仕様書やコードを作成する際、追加・修正を締め切って最終版を確定することを「フィックスする」という。
ソフトウェアの不具合やバグが発見された際に、これを修正することを「フィックスする」「バグフィックス」という。また、ユーザに配布される修正プログラムのこともフィックスという。応急的・緊急的な特に「ホットフィックス」ということもある
ソフトウェア開発では、基本的に複数人が協同で開発を担当することが多いため、共通認識としてフィックスの過程を共有しておくことが大切になります。
2 広告業界におけるフィックス
顧客とのスケジュール管理や意思決定などのタイミングで、「フィックス」が使われることも多いです。広告業界は、常に顧客企業などとのやり取りが頻繁に発生するため激務と言われます。
その中で、適切に各顧客ごとのやり取り(メールや資料など)が完了したかどうかをほかの社員と共有するためにフィックスが使われる場合があるでしょう。
3 事務職におけるフィックス
事務職など、書類作成をおこなうことが多い職場や職種でも「フィックス」が使われる場合があります。
「この資料はフィックスした」など随所で使う機会がある企業も多いかもしれません。
ひとつの書類が完全に書き終わり保存されたり、提出されたりするまでには、大企業であればあるほど様々な人(上司・責任者・管理職など)に稟議に回されることも多いです。
その際に頻繁に使うこともあるでしょう。
ただし、業界や企業によってはまったく使わないことも多いので、「必須で使うべき!」というわけではないかもしれませんね。
4 映像業界におけるフィックス
映像業界や映像制作の分野において、「フィックス」はカメラと画像を固定した状態での撮影することを指します。
フィックスには物を固定する意味があるので、カメラ・画像を固定することからそう呼ばれているのです。
5 建築業界におけるフィックス
建築業界では、開閉することができない窓を「フィックス窓」と呼びます。玄関部分や天井の窓には、フィックス窓が取り付けられることがあります。
こちらも、物理的に固定されている「フィックス」のもともとの意味から来ています。
6 FXにおけるフィックス
FXにいては「ロンドンフィックス」という用語があります。別名「ロンドンフィキシング」とも呼ばれ、その日の取引に利用する基準レートを決定する時間のことです。ロンドン時間で決定されます。
このロンドンフィックスの時間は下記のように決まっています。
- 夏:日本時間 午前0時
- 冬:日本時間 午前1時
フィックス(FIX)を使うときの注意点
ここでは、「フィックス(fix)」を使うときの注意点について解説していきます。企業・業界によっては、多用することもありますし、クライアント(顧客)によって用いる相手がいるかもしれません。
そのときに困らないように、フィックスの使い方を覚えておきましょう。
1 フィックスすることで曖昧さを回避できるメリットがある
フィックスは、ビジネスの現場において様々な局面で重要なことです。
「フィックス」という言葉で言い表さなくても、仕事内容や成果物を確定させることで、仕事は前に進んでいくからです。
また、仕事内容や成果物を確定させることで、仕事が誰の手によってどの状態で確定したのかがハッキリします。仕事は責任範囲をしっかり決めることが重要ですよね。
また、社内だけではなく社外の取引先などとの相談・打ち合わせなどを繰り返す営業職の人は、スケジュール管理や業務管理がとても複雑になります。
フィックスする仕組みや会社・個人を問わず作っておくことで、仕事をより効率的に進めることができるようになります。
2 フィックスという言葉自体は結構あいまいであることに注意する
「フィックス」という言葉には確定する、決定するという意味合いがあることは、すでにご紹介した通りです。
ただ、「フィックスする」ための行動は業界や企業、そして仕事のやり取りをする個人間でやり方が異なる場合が多いです。
たとえば、「〇〇でフィックスとします」とハッキリ伝えたとしても、「こちらはフィックスしたとは考えていない」と言われてしまったら、困りますよね。
そのため、フィックスという言葉を使う状況では、相手と自分との間で認識の差がないかどうかをしっかり確認することが大事なのです。
たとえば、会議で各メンバーが期限付きで仕事を割り振られるとします。
この場合、フィックスした期限やスケジュールを再度確認するなど、細かな意思疎通をおこなうことが大切です。
具体的には、下記のようなやり方でフィックスの認識の差が生まれない工夫をしましょう。
- あらかじめフィックスする内容を文書で保存し共有する。
- 決定した事項をまとめた議事録やメモをメンバーに共有する。
- 相手にリマインドメールを送信する。
- 予定を決めたときは、数日後に改めて確認の連絡を取る。
あなたも、仕事の中で「確か伝えたはずなのに、相手に伝わっていなかった」という経験があると思います。
これは、フィックスと言う言葉を使う/使わないに関わらず、物事を確定させたときの意思疎通が上手く行っていないことによって起きています。
ビジネス現場ではコミュニケーション能力は不可欠ですが、雑談力や質問力と同じかそれ以上に、フィックスをしっかりおこなう能力も重要です。
3 社内・社外での使い分けに注意する
フィックスするためには、社内や個人間でフィックスするための行動を取る必要があります。
たとえば、上司に稟議書を回し印鑑を押してもらう、責任者にチェックしてもらう、フィックスした相手と「〇〇で間違いないですね?」と確認するなど。
社内であれば、いつも仕組み通りにフィックスの方法を作っておけば、精度の高いフィックスを行うことができるようになります。
ただし、注意しなければいけないのは「社外の関係者」とフィックスするときです。
相手にとってはフィックスだと思っていたけど、自分はそう思っていなかった、もしくはその逆パターンの状況が起きる可能性はとても高いです。
これも、1で述べた認識の差です。
たとえば、事務職の仕事で「フィックスした資料はこのファイルに入れる」というルールがあるとします。
しかしそれはあくまでも社内で通用する話であり、部外者にとってはただの「ファイルとじ」にしかなりませんよね。
あなたのフィックスの仕方が、どの範囲まで共通認識となっているのかは、必ずおさえておくようにしましょう。
転職したい?希望条件の転職先を探すための方法とコツ
今回は、業界・ビジネス用語である「フィックス(fix)」の意味や使い方について解説していきました。自分の知らない業界用語や言葉の意味について、ひとつひとつ調べていくことはとても大切です。
さて、フィックスの意味を検索した人の中には、これから転職するつもりの業界のことについて調べていくうちに、わからない用語にぶつかった方もいるのではないでしょうか?
ここでは、そんな転職を検討している方に向けて、簡単に転職先を探すためのコツについてご紹介していきます。
1 転職サイト選びは慎重におこなう
これから転職活動を少しでも始めたいと考えている方の中には、まだ実際に求人情報を探し始めていない方も多いと思います。
転職活動でいちばん大切なことは「どうやって転職求人を探すのか?」ということです。
しかし、転職サイトといっても様々なものがありますし、利用できる転職者のターゲットや、効果的な活用法が異なります。
転職サイト選びに悩んでしまう理由は、「そもそもなぜ転職サイトを使うべきなのか?」という根本が分からないからです。
下記記事では、転職サイトのランキングをご紹介しつつ、効果的な活用法や注意点について解説しています。
転職サイトを通じて求人を探したい方は、ぜひ下記記事を参考にして、自分に合った転職サイトを見つけてみてください。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 転職活動の全体の流れをおさえ、余計な不安を解消する
転職活動を初めたいけど、なぜか不安…そんなふうに思っている人が最初にやるべきことは、転職活動の全体の流れをおさえること。
たとえば、料理をするときは、レシピを全体を見て必要な材料を揃え、作り方の流れをある程度覚えてから実際に作り始めますよね。
それと同様に、転職活動も全体の流れを通して学び、その上で実際に始めることで、成功率が格段にアップします。
余計な不安を感じずに、前向きに転職活動をしたいなら、まずは転職活動の基礎知識を学びましょう。
おすすめ記事:【全知識】転職活動のやり方・期間・面接対策・必要書類まとめ!
3 転職が初めてなら、「転職エージェント」を使うべき!
転職活動の流れは知っているけど、それでもまだまだ転職は不安…そう感じてしまう人もいるのではないでしょうか?
頭では分かっていても、実際に転職に踏み出す勇気がなかなか出ない人もいるでしょう。また、単純に仕事が忙しく、転職したいけどできないという方もいると思います。
ただ、そんな人でも転職活動をおこなうことは可能です。
忙しい人や一人で転職活動を始めるのが不安な方は、求人紹介や転職相談、面接対策や日程調整まで様々なサポートを無料でしてくれる「転職エージェント」を活用しましょう。
在職中に転職活動を始めれば、リスク無しで好条件の求人を探すことができます。
もちろん、良い転職先が見つからないのであればムリに転職先を選ぶ必要はありません。
下記記事では、あなたにおすすめの転職エージェントが見つかるよう、転職エージェントランキングをご紹介しています。
ぜひ、自分に合った転職エージェントを見つけてください。
おすすめ記事:おすすめ転職エージェントランキング!選び方や注意点・活用法まとめ
まとめ|用語を使いこなそう!
今回は、業界・企業によってはかなりの頻度で用いられる「フィックス(FIX)」の意味や定義、そして活用例や注意点をご紹介してきました。
それほど知っている割合が多い言葉ではないですが、特定の企業や業界では頻繁に使う用語のようで、初めて聞いて意味が分からず戸惑ってしまうこともあるようです。
この記事を読んだあなたは、すでにフィックスの意味合いを理解しています。つまり、それだけで業務遂行能力が一歩前進したと言っても良いのではないでしょうか?
ビジネスパーソンとして、知っておきたい用語「フィックス」をぜひ覚えていってくださいね。