マーケターになるためには、どんな情報と知識を学び、どんな方法で転職することが求められるのでしょうか?
マーケターは人気職種であり、今後の社会ではさらに求められる職種になっていきます。また、仕事内容も魅力的であり、大きな価値を企業・社会にもたらす職業として人気があります。
ただ、あなたが実際にマーケターを目指すためには、その現実や難しさについてもしっかり知っておく必要があるでしょう。
また、仕事内容、年収などについておさえておかなければ、実際に転職先を探す相場が分かりませんよね。
そこで今回は、マーケターになるために必ずおさえておきたい基礎知識をすべてまとめ、実際にマーケターになりたいと考えている人がすぐにアクションを起こせるような内容を解説しています。
本気でマーケターを目指すなら、ぜひ参考にしてください。
INDEX
マーケティングとは何か?
マーケターについて説明するためには、「そもそもマーケティングとは何か?」ということから説明しなければなりません。
マーケティングとは?
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
企業が行う活動には様々なものがあります。その中でも、マーケティングは説明するのがとても難しい概念であり、マーケティングに書かれている様々な著書でも、その説明には微妙な違いがあります。
ただ、ここではアメリカの経営学者であるフィリップ・コトラーの言葉を借りて、一言で説明してみます。
「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」
この言葉を簡単に言い直すと、「製品を生み出してから顧客に届くまででできるすべての活動と仕組み」のことだと言えるでしょう。
そのため、市場や顧客のニーズをどう汲み取るのか、そして汲み取った情報をどう活用して商品や広告に活かすのか…といった広い範囲の業務全般がマーケティングと呼ばれています。
マーケティングは「流行りを創ること」ではない?
マーケティングというと、最近ではSNSが主流になり、企業がアカウントを作成し広報や広告に活用する事例がとても増えてきました。
ここで詳細は省きますが、SNSやWeb広告など、インターネットを活用したマーケティングをデジタルマーケティング・Webマーケティングと呼びます。
ただ、近年はインターネットを活用したマーケティングが主流になったため、マーケティング=Web広告やSNSを使った広報…といったイメージを持ちやすいです。
しかしそれは間違っているかもしれません。
マーケティングとは「○○が流行っている」とトレンドを追いかけて伝えることではなく、「Awareness=気が付かせること。」が基本です。これからはネイティブアドの時代など騒ぐ人がいますが、それはただ広告だと気づかないようにコンテンツ化しただけで、所詮「広告2.0」といった感じです。
引用:ドラッカー「あなたの仕事は顧客の創造」マーケターが全て台無しにした。
マーケティングの本来の意味について深く知ることはとてもむずかしいですが、ただSNSなどを利用して流行らせることがマーケティングではないことは確かでしょう。
そうではなく、マーケティングは自社の商品・サービスのニーズを喚起することや、本当に必要としてくれる顧客に商品・サービスを届けるための解決策なのです。
では、そんな広範囲の業務をおこなう「マーケター」とは、どのような職業なのでしょうか?
マーケターとは?
マーケターとはどのような仕事・業務を担当する職業なのでしょうか?
まずは、辞書的な意味合いから、マーケターの役割を紐解いていきます。
マーケターとはマーケティング理論や調査に専門的な知識を持つマーケティング戦略立案者のことをいう。
マーケター(marketer)
1 市場で売買する人。
2 市場調査に基づいて商品開発・販売促進を行う人。
マーケターには古くからの意味合いとしての「市場で売買する人」という意味があります。
しかし、マーケティングの意味合いから汲み取れるマーケターの説明は、「市場調査にもとづいて商品開発・販売促進を行う人」になります。
マーケターは、自社の商品・サービスを顧客に対して広めることや、深く知ってもらうこと、そして実際に商品・サービスを使ってもらうための活動をする職業であるといえるでしょう。
具体的には、自社が参画している市場と、その中にいる様々な性別・年齢・悩みを持っている人や希望を持っている人を分析しながら、自社商品・サービスを広めるために有効な施策を打つ仕事です。
マーケターの仕事内容・役割・年収
ここでは、マーケターの具体的な仕事内容や、平均年収について解説していきます。
これからマーケターを目指す方は、具体的にマーケターがどんな業務につき、日々仕事をおこなっているのか、そしてその仕事に対する報酬としてどのくらいの年収があるのかを知っておくことが大切です。
マーケターの仕事内容と役割
マーケターの仕事内容は、下記のようにいくつかに分かれます。
企業の業態や仕事の割合などは各企業ごとに差がありますが、おおよそ下記のような仕事内容をおこなっています。
1 市場・顧客の各種調査・情報収集・分析
マーケティングの基本とも言える情報収集・調査、分析業務が、マーケターの最も時間のかかる業務になります。
市場であれ、顧客であれ、自社商品・サービスを適切・効果的な形で世の中のユーザーに届けるためには、最初の分析が欠かせません。
たとえば、新商品開発では、アンケートや市場調査を通じて消費者・ユーザーの趣味趣向を分析する必要があります。それをもとに、有効な施策を打つのです。
また、有効な施策を打った後は、それを次に活かすためのフィードバック分析を行う必要があります。
具体的には、CMなどの宣伝活動の効果検証、Webサイト(自社HP)などで得たユーザーデータの解析などが挙げられます。
2 新商品のコンセプト立案・既存商品の改善案の考案
市場調査や顧客へのアンケートを通して得られた情報を、自社の利益につながる商品やサービスに繋げることもマーケターの仕事のひとつです。
市場調査や顧客へのアンケート、その他様々なツールを用いて顧客を分類・分析することで、「どの層の顧客に、どういう商品・サービスを売ることができるか?」を考えていきます。
もちろん、データ分析を主としておこなうマーケターがいる一方、感覚的な流行や世の中の流れを察知して、クリエイティブなアイディアを出すマーケターもいます。
新商品開発、既存商品の改善の両方で必要な「どうやったら売れるか?」を考えていく点で共通しています。
3 他部門へのアドバイスやプロジェクトのマネジメント
顧客・市場に対する分析・調査をおこなっているマーケターは、企業内の他部門に「客の視点」からアドバイスすることが求められます。
また、商品のコンセプトを立案したり、改善点を洗い出したりする役割を担う以上、商品開発プロジェクトなどのマネジメントを行う必要が出てきます。
マーケターは、企画・開発部門だけではなく、世の中に実際に自社商品・サービスが届くまでの行程をすべて見る必要がありますし、もし誤った方向性に動いているのであれば、それを直ちに修正する必要があります。
そのため、客の好みやライフスタイルなどの趣向を理解した上で、適切なプロジェクト進行、マネジメントを行うことが必須です。
具体的には、企画・開発部門での商品コンセプトの立案や設計の考案、営業部門では販売エリアや流通チャネルの設定、広告部門では販促キャンペーンの立案や広告施策の打ち出しなどです。
ただし、これはマーケターの業務をすべて解説しているため、現場で働く場合にはこの一部をチームで担当たり、ひとつの部門に特化してサポートするなど、業務には幅があります。
マーケターの平均年収は?
「マーケター」という分類で平均年収を調べることは難しいのですが、一般的な「マーケティング・企画・宣伝系」の職種の平均年収は下記の通りになります。
20代の平均年収 | 30代の平均年収 | 40代以上の平均年収 | 全年齢の平均年収 |
---|---|---|---|
371万円 | 495万円 | 628万円 | 461万円 |
後ほども解説しますが、マーケターの中でも特にWebマーケティングやデジタルマーケティングのスキルを持っていると、様々な業界で通用するマーケターになることができるといえます。
参考:平均年収レポート&モデル年収ランキング – マイナビ転職
マーケターに必要な資質・能力・スキル
ここでは、これからのマーケターに必要なスキルや能力のうち、特に重要な3つの観点について解説していきます。
現段階でマーケティング業務を行っている方は少ないと思いますが、今のあなたも仕事の中で同じような業務をしている可能性があります。
この場合、今の業務で身につけたスキルをマーケターとして活かすことも十分可能です。
1 市場洞察力
自社商品・サービスを取り巻く市場(マーケット)や、競合の洞察力が最も必要なマーケターのスキルです。
生活の中で、あるいは仕事の中でいつも市場の動きに目を光らせている必要があるため、ある意味金融業界のトレーダーなどと同じような洞察力が求められるかもしれません。
あなたも、生活の中で「この商品はこうすれば良いのにな」「このCMはこうすれば面白いのにな」と考えることがあると思います。
マーケターでは、そういった市場と顧客を取り巻く状況をいち早く理解して動き出す仕事が求められていきます。
ここではほんの一例ですが、マーケターが日々の業務の中で注意深く見ておくべきポイントを箇条書きで書いていきます。
- 季節・流行・年代別の趣向の変化
- 自社商品・サービスの市場での位置付けと変化
- 競合商品・サービスの市場での位置付けと変化
- 競合になり得る他業界の商品・サービスとその変化
- 市場・政治・国際などの時事問題と自社商品・サービスへの影響
- インターネット文化への理解
- マーケティングで活用できるツールとその学習
- 日々「面白い」「役立つ」と思える広告・宣伝手法
- etc…
マーケターは、すでに誰かがやって効果のある宣伝手法や商品のアイディアを仕事に活かすだけが仕事ではなく、「時代の流れを読む」ことも大きなポイントになります。
自動車業界を例にとって考えてみるととてもわかりやすいです。
たとえば、あなたがトヨタ社員のマーケティング部門で働いているとします。この場合、競合として注意しておくべきなのは、一昔前は「ホンダ」「日産」「三菱」などほかの自動車メーカーでした。
しかし、今では自動運転技術の進歩や、シェアリングエコノミーといったサービス(「Uber」など)が表れ、同じ自動車メーカーだけではなく、「IT業界」を競合として見なければなりませんよね。
このように、マーケターに求められる「洞察力」は、これまでの価値観や流行にとらわれない発想を持つことも含まれています。
2 ユーザーへの理解力
ユーザーへの理解力とは、「顧客がどういう経路(チャネル)で商品・サービスに興味を持つか?」を理解する能力です。
ユーザーへの理解は正しい定義があるわけではありませんが、単なる「感情的な思いやり」ではありません。
そうではなく、「自社の商品・サービスはどう作ってどう届けていけばユーザーのメリットになるのか?」を市場調査やアンケートから分析することです。
何となく「こうなんじゃないか?」と案を出すのではなく、定性的な評価と定量的な評価を十分検討して、ユーザー(顧客)を理解することが大切です。
3 仮説を立てて実行する能力・仮説を検証する能力
仮説を立て、それを実行する能力は、マーケターとして経験・スキルを積むために重要な能力です。
ユーザーへの理解力では、「自社の商品・サービスはどうやってどう届ければユーザーのメリットになるのか?」を分析することが必要だと説明しました。
しかし、いくら情報収集をして根拠のある数字とともに案を出しても、それが正解なのかどうかは分からないことも多いです。
たとえば、この記事はこれからマーケターを目指したいと考えている方に向けて書いていますが、マーケターを目指している人が本当にいるのかどうかは、記事を読んでくれる方がいるまで分かりません。
もし万が一「誰も読んでくれる人がいなかった」としたら、自分の仮説や案が間違っていたことを表します。
ただ、「上手くいかなそう」と考えて記事を書いていなかったら、これを読んで頂いているあなたにも情報が届きませんでした。
つまり、「仮説を立てて実行する力」には大きな価値があるのです。
マーケターは、「大きな市場でどのくらいのシェアを取ることができるか、そのためには何をすべきか?」を常に仮説を立てて行動しながら考えなくてはいけません。
また「間違っても次の改善に活かす」という考え方を持つことも重要です。
間違った仮説なら「なぜできなかったか?」、上手く行ったのだとしたら「なぜ上手く行ったのか?」を分析し、次に活かすことが必須の職業です。
ここまで、マーケターに必要な能力やスキルについて解説してきました。
上記で見てきたように、マーケターには様々な能力が求められますが、その分大きな魅力のある職業です。
そしてもちろん、世の中にはマーケティング職の求人も多数あります。
求人を選び転職するためには、「志望動機」などを面接で話す必要がありますが、そのためには求められるマーケター像を理解しておくことが必要です。
下記では、今後の世の中でマーケターに求められる仕事の変化について解説しています。