INDEX
意味不明?会社・企業が「人事異動」をする目的とは
人事異動は、会社組織の経営層や人事の都合で命令されるものです。
しかし、人事異動をする目的は個別的なケースによってかなり異なるため、どんな目的で人事異動が行われているのか、正社員一人ひとりがチェックするのはとてもむずかしいのが現状です。
しかし一方で、人事異動の目的はいくつかに絞ることができます。人事異動を受ける側の私達にとっては、人事異動で働き方が変わるため、いつでも対処できるようにしておく必要があります。
そのために、まずは人事異動の目的について、ざっくりと理解しておきましょう。
1 ノウハウの共有や人材の育成のため
部署に所属している人員が固着していると、どうしても非効率な部分や不便な部分、改善策や成果の出し方が偏ってしまい、新陳代謝が起きにくい組織になってしまいます。
たとえば、ずっと引退した先輩が居残るクラブ活動を思い浮かべると、イメージがカンタンになります。いつまでも組織の良い部分を伸ばすことができなくなってしまいますよね。
また、新しく他部署から定期的に人が流入するシステムを作っておけば、新たなノウハウを組織に循環させることができるため、とても合理的です。
イメージとしては「ずっと同じ仕事をこなし続けたほうが効率が良いのでは?」と感じますが、組織全体として見たときには、ノウハウ共有や人材育成のために、部署間の人員の流れを柔軟にしておいたほうが良いのです。
2 社内の人材流動性の確保のため
たとえば、最初から経理部門のみで活躍していた方よりも、一度営業部門等に配属された後に、経理部門に配属された方のほうが、仕事を俯瞰的に見ることができるようになるため、業務の効率化になることが多いです。
1にも関連することですが、社内の人材が流動的になることによって、一人ひとりの社員が全体的な視点を持って活躍することができます。
そうすれば、日本企業のようななかなか従業員を解雇しにくい経営スタイルでも、利益を上げたり、業務を効率化してくれたりする社員を増やすことができます。
逆に、いつまでも同じ部署で同じ人が働き続けていると、部署内での力関係や社内政治の温床になりますし、外部の部署から見て関わりづらい部署に変化してしまう可能性があります。
これは、経営者目線からみると非効率で不健全な状態なのです。
あなたも、すでに異動を経験したことのある人であれば、「関わりにくい上司・同僚」と異動をキッカケに離れ、働きやすくなった経験があるかもしれません。
一人ひとりが最大限のパフォーマンスを出せるようにする方法のひとつとして、人事異動があるのです。
3 新規事業立ち上げなどに柔軟に対応するため
日本企業は、終身雇用制度がまだまだ残っているところが多くあります。また、解雇規制により、よほどのことがない限り社員を解雇することが難しい制度になっています。
そのため、ジョブローテーションで配置を変える仕組みを作ることで、1や2のメリットを享受することができます。
しかし、人事異動によるメリットはそれだけではありません。
人事異動をおこなうことで、社内の人材が幅広い業務を行うことができれば、その分会社全体の生産性もアップしますよね。また、柔軟に環境に適応できる人材を増やすことができます。
日々刻々と事業構造や市場の変化が訪れる業界であればあるほど、その市場に商品・サービスを供給している会社の社員が流動的であるメリットはかなり大きいです。
たとえば、新規事業の立ち上げでは、自社が参入したことのない市場へ商品を企画するケースもあるでしょう。
この場合には、既存市場でのスペシャリストよりも、新規事業の立ち上げに経験があるシニア人材がマネジメントをおこなうことで、スムーズに新規事業立案を達成することができます。
4 不正防止のため
1、2、3の理由よりもネガティブな目的ではありますが、「不正防止」も人事異動のひとつの目的です。同一人物が継続的に同じ仕事を回していると、不正の温床になることは十分考えられます。
不正は、悪意を持って行う人が大半ですが、一方で無意識的に行われていたり、業務フローがブラックボックス化(外部から見て状況がわからない状態のこと)されていることでも発生するのです。
そういった状況を回避する意味でも、人事異動は行われています。
ここまで、会社がなぜ人事異動をおこなうのか、その目的について4つの観点から説明してきました。
ここでご紹介した理由以外にも、特定個人間のあつれきを緩和する目的で人事異動が意図的に行われるケースがあったり、ブラック企業だと不当に人事権を行使されてしまったり…という悪いケースも存在します。
ただ、基本的には、企業組織がきちんと機能するようにマネジメントされている結果として、人事異動が行われているということを理解しておきましょう。
人事異動を受けることのメリット・デメリット
ここでは、社員側、つまり私たちから見て「人事異動」にはどのようなメリット・デメリットがあるのかについて考えていきます。
人事異動によるメリット
人事異動によるメリットは下記の通りです。
- ほかの部門で経験を積むことができる
- 自分の強み・適性が分かる
- 異動に納得する限り、リストラなどの心配が少ない
- 昇進・昇給であることがほとんど
社内での昇進や昇給は人事異動によって行われるため、あなたにとってメリットが大きいです。また、他部門での仕事を始める当初は大変ですが、経験・スキルを更に深めることができます。
人事異動によるデメリット
一方で、人事異動によるデメリットは下記の通りです。
- 海外勤務/遠方勤務で住む場所や働き方が変化する
- 希望しない分野の部署に配属されることもある
- 降格させられたり、降給されたりすることもある
- 明らかに理不尽な人事異動がなされる場合がある
- 異動回数が多いとスペシャリストになれない
人事異動には数多くのリスクがあります。たとえば、慣れ親しんだ仕事内容から、ほとんど初めての業務を一定レベル以上の水準を保った上でこなさなければならないことがあります。
また、人事異動は良いことばかりではないため、海外や遠方への転勤でご家族と離れて暮らすことになるケースもあります。
また、望まない配置転換や、人事権の濫用によって理不尽な異動を命じられる場合もあります。
このように、人事異動にはメリットがある一方で様々なデメリットがあります。企業内で働く上では、専門職でない限り、この人事異動に適切に対処する準備をしていくことが大切です。
では、人事異動への対処とは具体的に何を指すのでしょうか?
次では、人事異動が拒否できるケースや、望まない人事異動を命じられたときの対処法について解説していきます。
人事異動は拒否できる?対処法と解決策
人事異動は、メリットのあることだけではなくデメリットが大きいものもあります。そのため、ときには会社に固執せず、転職を含めて幅広く対処する方法を知っておくべきです。
また、人事異動は経営層や人事部からの命令ですが、拒否できるケースがあります。
ご自身で解決することは難しいことも多いですが、法テラスなどで相談することも可能なので、拒否できるケースをおさえておくとよいでしょう。
1 人事異動は拒否できるケースもある
人事異動には拒否できるケースがあることを知りましょう。
人事異動を決定するのは、「人事権を持っている人事部」であることがほとんどです。人事部がない場合には、経営層が担っていることもあります。
人事権とは、使用者(企業側)が、労働契約に基づいて労働者の「採用・転勤・異動・解雇」を行うことができる権利・権限のことを表します。
そのため、社員・従業員が、これを理由なしに断ることは不可能です。
退職するしか方法はありません。ただ、人事権はあらかじめ労働契約内で定められているものに沿っていないと「権利の濫用」として効力が無効になります。
(3)人事権はあくまで労働契約に基づく権限ですから、労働契約におよそ含まれていないこと、つまり、就業規則や労働協約、個別の合意で定めた内容を超えて行使することはできないと解されます。その意味で、人事権は就業規則等によっても制限を受けると説明することができます。
引用:Q10 人事権とは法的にどのような権利ですか。 – 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
個別の事例にもよりますが、権利の濫用となるケースは下記の通りです。
人事権の濫用になるケース
- 業務上必要性がない人事異動
- 労働者の環境に不利益を及ぼす人事異動
- 勤務する地域や役職など労働契約の内容とは異なる人事異動
- 差別的な待遇(窓際族のような扱いや自主退職を暗に示す異動)
個別的な事例によって結果は異なるため、必ずしも「人事権の濫用」になるかは分かりませんが、相談してみることもひとつの方法です。
弁護士事務所や法テラスのほか、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」でも、労働問題に関する悩みや相談を受け付けています。
2 対応に困ったら信頼できる上司に相談する
確証はないけど「不当だ」「理不尽だ」と思える人事異動を命ぜられたときには、信頼できる上司にかけあってみるのもひとつの方法です。
部長や課長など、経営層とコミュニケーションが取れる上司に相談すれば、何らかの対応策を考えてくれる場合もあります。
この場合は、感情的にならずに今のあなたがなぜ異動に不利益を被るのかをしっかり説明することが大切です。
3 対応が無理なら転職を考えるべき
上司に相談しても、理不尽な人事異動を改善してくれなかったり、取りやめてくれなかったりする可能性も十分あります。
この場合、あなたはどう行動していくべきなのでしょうか?
あなたが取れる選択肢は2つあります。ひとつは「現状に耐えて異動を受け入れること」。もうひとつは、「転職すること」です。
そして、おすすめの選択肢は、現状に耐えることよりも「転職」することです。
せっかく働くことができた職場を辞めることには勇気が入りますが、行動はできるだけ早くしたほうが良いです。自主退職でも失業保険を受け取ることができますし、辞める前から転職活動を始めることも十分可能です。
ずっと自分の意にそぐわない働き方で、あなたのキャリアをムダにしてしまうリスクのほうが、転職のリスクよりも高いです。
異動先で後悔する前に、転職を検討してみることをおすすめします。
ここまで、人事異動を命ぜられたときの対処法や解決策についてご紹介してきました。
人事異動でデメリットがあるときには、決して諦めずに自分のしたい働き方を目指すことがいちばん大切です。
転職活動を始めること自体には何のリスクもないので、人事異動に理不尽さを感じている人は、ぜひ転職も検討してみてください。
次では、転職したいと考えている方が、希望条件の転職先を探すための方法とコツを解説していきます。
転職したい?希望条件の転職先を探すための方法とコツ
ここでは、転職を少しでも検討している方に向けて、転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
1 転職サイト選びは慎重におこなう
これから転職活動を少しでも始めたいと考えている方の中には、まだ実際に求人情報を探し始めていない方も多いと思います。
転職活動でいちばん大切なことは「どうやって転職求人を探すのか?」ということです。
しかし、転職サイトといっても様々なものがありますし、利用できる転職者のターゲットや、効果的な活用法が異なります。
転職サイト選びに悩んでしまう理由は、「そもそもなぜ転職サイトを使うべきなのか?」という根本が分からないからです。
下記記事では、転職サイトのランキングをご紹介しつつ、効果的な活用法や注意点について解説しています。
転職サイトを通じて求人を探したい方は、ぜひ下記記事を参考にして、自分に合った転職サイトを見つけてみてください。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 転職活動の全体の流れをおさえ、余計な不安を解消する
転職活動を初めたいけど、なぜか不安…そんなふうに思っている人が最初にやるべきことは、転職活動の全体の流れをおさえること。
たとえば、料理をするときは、レシピを全体を見て必要な材料を揃え、作り方の流れをある程度覚えてから実際に作り始めますよね。
それと同様に、転職活動も全体の流れを通して学び、その上で実際に始めることで、成功率が格段にアップします。
余計な不安を感じずに、前向きに転職活動をしたいなら、まずは転職活動の基礎知識を学びましょう。
おすすめ記事:【全知識】転職活動のやり方・期間・面接対策・必要書類まとめ!
3 転職が初めてなら、「転職エージェント」を使うべき!
転職活動の流れは知っているけど、それでもまだまだ転職は不安…そう感じてしまう人もいるのではないでしょうか?
頭では分かっていても、実際に転職に踏み出す勇気がなかなか出ない人もいるでしょう。また、単純に仕事が忙しく、転職したいけどできないという方もいると思います。
ただ、そんな人でも転職活動をおこなうことは可能です。
忙しい人や一人で転職活動を始めるのが不安な方は、求人紹介や転職相談、面接対策や日程調整まで様々なサポートを無料でしてくれる「転職エージェント」を活用しましょう。
在職中に転職活動を始めれば、リスク無しで好条件の求人を探すことができます。
もちろん、良い転職先が見つからないのであればムリに転職先を選ぶ必要はありません。
下記記事では、あなたにおすすめの転職エージェントが見つかるよう、転職エージェントランキングをご紹介しています。
ぜひ、自分に合った転職エージェントを見つけてください。
おすすめ記事:おすすめ転職エージェントランキング!選び方や注意点・活用法まとめ
まとめ|人事異動にはハッキリとした対応を!
今回は、企業が社員に対して行う人事異動の意味や定義などを解説したのちに、あなたの働き方にも関わる人事異動への対処方法なども一緒に解説してきました。
人事異動は、働く私たちにとって良いものでもあり、悪いものでもあります。あなたが人事異動をポジティブにとらえてスキルや経験を得つつ年収アップができれば良いですが、必ずしもそうならないケースもたくさんあります。
人事異動をなぜ企業側がおこなうのか、その目的についておさえたうえで、あなた自身が納得できないのであれば、転職も考えてみましょう。
あなたが納得できない仕事をムリに続けず、良い職場で働けることを願っています。ぜひ今回の人事異動の知識を有効に活用してください。