医師の転職を考えている方の中には、「非常勤医師」として柔軟な働き方がしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
非常勤医師として働く理由は医師の方それぞれ異なりますが、転職するための方法は一緒です。
また、医師は専門性の高い仕事ですので、通常の転職サイトではなく、医師専門の転職サービスを活用しなければなりません。
そこで今回は、非常勤医師として働くメリットや、転職方法についてすべてをご紹介していきます。
非常勤医師として転職を考えている方や、常勤と掛け持ちで非常勤医師として働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ほう、ぼっちは常勤の内科で働いてなかったっけ?
うん、そうなんだけど、子育てや育児で常勤ではキツくなってきてね。
なるほど、では非常勤医師として転職する方法を教えるぞ!
やった!さっさと教えて!
頼み方、雑ゥ!
INDEX
非常勤医師の仕事内容・役割
非常勤医師とは、健康保険法で「常勤医師」として認められる条件に当てはまらない勤務形態の医師のことを指します。
具体的には、常勤医師の定義のひとつである「一日8時間程度の勤務でかつ一週間32時間、週に4日勤務」未満の勤務形態で働く医師を「非常勤医師」と呼びます。
2015年の日本医師会総合政策研究機構の調査「病院における必要医師数調査結果」では、医師全体のうち、非常勤医師が占める割合は18.4%となっています。
一般的なイメージよりも、非常勤医師として働く医師の数が多いことが分かりますね。
具体的には、非常勤医師にも2種類の働き方があります。
- 定期非常勤:定期的に勤務日を決めて勤務する(病院の医師が足りない曜日のみの勤務等)
- スポット非常勤:特定の日に決められた職務のみをこなす(健康診断・ワクチン注射等)
勤務時間は1週間あたり27時間と短く、日勤でも午前のみ・午後のみ・当直のみなど多様な勤務時間を選択することができます。
子育て中の女性医師や家庭や仕事の都合により柔軟な働き方が求められる医師が希望するケースが増えてきています。
日本医師会 病院における必要医師数調査結果によると、女性の非常勤は医師全体の24%を占めており、そのニーズの高さが理解できます。
2006年の厚生労働省「医師需給に係る医師の勤務状況調査」によると、非常勤の1週間あたりの勤務時間は全体で平均27.0時間となっています。
また、昨今では産業医として企業で非常勤を行う医師も増えており、病院に限らず働ける場所は多くあります。
では、具体的に常勤と非常勤の違いはどんな点にあるのでしょうか?
医師の常勤と非常勤の違いは?
非常勤医師は、先述した通り「一日8時間程度の勤務でかつ一週間32時間、週に4日勤務」以外の働き方をする医師を指します。
種類 | 定義 |
---|---|
常勤医師 | ・週に4日以上常態として勤務 ・週の労働時間が32時間以上 ・その職場で3ヵ月を超えて勤務している(産前・産後休暇は該当しない) |
非常勤医師 | ・週の労働時間が32時間未満 |
後ほどご説明するように、非常勤医師として働くことには様々なメリットがあります。しかし、待遇面では、常勤医師よりも悪くなることが一般的です。
具体的には、健康保険・厚生年金などの支払い・手続き、確定申告などの申告作業もご自身で行わなければならないため、個人事業主のような煩雑さが出てきてしまいます。
ただし、諸手続きのうち最も大変な「確定申告」の手続きなどは、実質1人でカンタンに行えるサービスが増えてきていますので、あまり不安になる必要はありません。
非常勤医師のメリットは?
1 ワークライフバランスを調整しやすい
非常勤の場合は、常勤医師と比べ勤務日や勤務時間を柔軟に選択することが可能です。
勤務日は、毎週・隔週、場合によっては月1回の勤務が可能です。また、勤務時間に関しても、日勤・当直、午前/午後のみや夕診・夜診といった幅広い選択肢を選んで働くことができます。
また、定期的な勤務ではなく、開いている日程で勤務したいなど更に柔軟に働きたい場合には、「スポット」と呼ばれるアルバイト形態での働き方も可能です。
育児・介護、その他様々な理由により仕事に専念し辛い方にとって、非常勤医師としての働き方はフレキシブルであるといえるでしょう。
2 常勤先でも通用するスキルが身につく
常勤先がある医師の方が非常勤勤務を行う場合があります。
専門医取得を検討している方は、ご自身に症例が周ってこないなどの「経験」が得られない悩みを持つ方が多いのではないでしょうか。
専門医として経験・スキルを身に着けたいと考えている方の中には、非常勤で勤める方も多いのです。
また、たとえば、常勤先では内科診療を行っている医師の方が非常勤で専門外来を担当するケースなどもあります。
働く先としては、クリニックで非常勤勤務として働くなどの方法があります。医師としての人脈を形成できるのもポイントです。
常勤先とは異なる患者層や治療法を経験できる点で、医師としてさらなる経験を積みたい方は非常勤として働く道も検討すべきでしょう。
3 専門分野以外の仕事ができる
医師の場合、勤務先によって当然「行う治療」「分野」はかなり限定されます。
将来的に携わりたい領域の経験を積むことは、常勤で長く勤めているだけでは不可能な場合も多いのです。また、常勤として初めから転科する方法は、現場ベースではかなりハードルが高いことも事実です。
そのため、まずは非常勤の求人の中から「未経験から応募可能な仕事」を選ぶことをおすすめします。
未経験で働きやすい非常勤の仕事で代表的なのは、下記の分野です。
- SAS(睡眠時無呼吸症候群)
- AGA(男性型脱毛症)
- 美容皮膚科
- 在宅診療(内科・精神科・眼科など)
上記以外にも、ケースにより未経験可の場合があります。ご自身の目指す将来の医者の姿を現実のものにするために「非常勤」として働くこともひとつの方法です。
4 常勤として働ける転職先を見つけることができる
非常勤は、柔軟に働ける方法として魅力的ですが、それだけがメリットなわけではありません。常勤として働ける職場・病院を見つける上でも、「非常勤として働く」ことには多大なメリットがあります。
たとえば、今常勤として勤務している職場から、ほかの転職先を探すとしましょう。この場合は、年収や勤務時間、勤務地などの基本的な条件のほかにも、「人間関係」「雰囲気」などといった現場での感覚がとても気になりますよね。
まずは非常勤として働き、現場の雰囲気をしっかり掴んでから常勤として転職するといった方法もあります。
また、将来開業を目指す医師が非常勤として勤務し、スタッフ管理や経営、総合的な知識を学ぶとった「勉強」としての側面もあります。
以上、非常勤医師として働くメリットをご紹介しました。
既に常勤として働いている医師の方から、都合により柔軟に働き方を変えたい方、そして経験を積みたい方まで、様々な医師の方にとって魅力的な働き方といえるのではないでしょうか。
非常勤医師の実情は?
では、非常勤医師の実情やデメリットをご紹介していきます。魅力が多い非常勤ですが、「この点は確実に知っておくべき」という情報をご紹介していきますので、必ずおさえておきましょう。
社会保険や福利厚生に関する難しさ
先述の通り、常勤医師とは異なり「雇用保険」「健康保険」などに加入する場合には自己負担額が大きく、扶養家族の保険も個人加入になるなど、保険・福利厚生に関する諸手続きが煩雑になる点に注意しましょう。
特に、常勤は無く、非常勤だけで生活していく場合には、「確定申告」などの事務作業を行う必要があります。また、福利厚生の利用が、同じ職場でも常勤医師と非常勤医師で異なる場合があります。有給の利用ができるかどうかはそのひとつの例でしょう。
柔軟に働き方を変えることができる分、福利厚生などは常勤医師と待遇が異なります。
これまで常勤としてしか働いてこなかった方は、「常勤のほか非常勤として働く」か、「非常勤のみで生活するか」でも状況が大きく変わることをおさえておきましょう。
では、次の項目からは、「転職活動のノウハウ」と、活用すべき転職サービスをご紹介していきます。
医師におすすめの転職サービスは近年増えてきていますので、特徴をおさえてしっかり活用することが大切です。
ねぇ、はかせ、ボク非常勤医師として働きたいんだけど…