「鑑みる(読み方:かんがみる)」とは、「先例や規範に照らし合わせる」という意味を持つ言葉です。
使いやすく一般にも使われる言葉なので、何となくわかったつもりで使ってしまっている方も多いのではないでしょうか。
無意識に使っているという方も多いかもしれませんが、あなたの使い方によっては間違っている可能性があります。正しい意味でボキャブラリーを高めていきたいとあなたも考えているはず。
そこで今回は、鑑みるの本来の意味や定義を解説するとともに、ビジネスシーンでの例文や使い方について解説していきます。また、「考慮する」「踏まえる」などの類語や言い換え、対義語の意味についても触れていきます。
類語や対義語と比較してみることで、より「鑑みる」の使い方についても明確にできます。
「鑑みるの意味、ちょっとあやふやだな」という方はぜひ参考にしてください。
「転職活動を始めたい」と少しでも考えている方は、ぜひ下記記事をご覧ください。
INDEX
鑑みるの意味|「先例や規範に照らし合わせる」
鑑みるとは「先例や規範に照らし合わせる」という意味を持つ言葉であり、「(先例など)に鑑みる」「(先例など)〜に鑑みて…」と使います。
「〜を鑑みる」は誤用であり、「〜に鑑みる」である点に注意が必要で、論文やレポートなどでは頻繁に間違いが発生するポイントでもあります。
かんがみる【鑑みる】
( 動マ上一 ) [文] マ上一 〔「かがみる(鑑)」の転〕先例や規範に照らし合わせる。他を参考にして考える。 「先例に-・みて…」 「過去の失敗に-・み…」
似ている言葉や、類語などの言い換えができる場合と、できない場合があるので注意が必要なビジネス用語です。
「鑑みる」は常用漢字表の改定により公用文において漢字表記となった
今回解説している「鑑みる」は、「常用漢字表」の平成22年11月30日改定以前は「かんがみる」とかな表記が原則でした。
しかし、その後「常用漢字表」の平成22年11月30日改定により「鑑みる」と漢字表記が原則となりました。
改定後、内閣法制局が平成23年に「法令における漢字使用等について」を定め、法令の目的規定などに使用される「かんがみ」は、「鑑み」と表現されるようになった背景があります。
参考:新常用漢字表と法令における漢字使用 法律のラウンジ〔91〕
「鑑みる」の誤用|「〜を鑑みる」
「これまでの事例に鑑みて〜だろう」というように使う「鑑みる」ですが、意味の解説部分でも述べた通り、「〜を鑑みる」という誤用がとても多いため、注意が必要です。
中には、辞書や英語の訳文などでも度々誤用が見られる言葉として有名でもあります。
鑑みるは、「前例や事例に照らし合わせて考える」と言い換えることができます。そのため、「〜に」と用います。
しかし、間違った用法では「○○を鑑みて〜」となります。これを本来の意味に鑑みると「〇〇を照らし合わせて〜」と不自然な意味になりますよね。
ただし、誤用から生まれた使い方が広く一般に広まると、そのうちそれが正しい意味になるということは結構起きています。
そのため、このまま誤用が続くと、数年後には「〜を鑑みる」がふつうになってしまうかもしれません。
ただ、今現在は「〜を鑑みて」だと誤用だと知っている人も多いため、ビジネスで活用するなら誤用を避けたほうが良いでしょう。
また、意味を汲み取るのがむずかしい言葉なので、ほかの言葉で言い換えるのも良いかもしれませんね。
ビジネスにおける「鑑みる」の意味
ビジネスシーンでは、主にビジネス文書で「鑑みる」が使われます。報告資料や会議資料、その他様々なビジネス上の説明資料にも「鑑みる」が使われます。
ただ考慮する、考えるよりも、熟慮したうえで出した結論というニュアンスがあるため、公式文書でも使われることが多いようです。
「〜に鑑みる」とは、事例や先例、すでに決まっていることやすでに結果が分かっていることを分析したうえで、次の行動をどうするべきかを決めること。
たとえば、「過去の実績に鑑みて、今年度の実績目標を決定する」というように使われます。
ビジネスや仕事では、過去に一度行なったことや結果が出たことをもう一度初めからやるのではなく、手本・参考にしたうえで効率的に仕事を進めて結果を出す必要があります。
そのため「鑑みる」という言葉はかなり頻出する用語です。
ただし、ビジネス文書や書籍、インターネット上で「鑑みる」が使われている場合、本当にふさわしい使い方がされているかをチェックすることが大切です。
もし、意味がよくつかめないなということがあれば「〜に鑑みて」を「〜に照らし合わせて」と読み替えることをおすすめします。
鑑みるの読み方|「かんがみる」
「鑑みる」は「かんがみる」と読みます。元々は「かがみる」と読み、辞書に表記されていることも多いです。
鑑みるの漢字「鑑」は音読みが「かん」、訓読みで「かがみ」になります。
鑑みるの例文・使い方
鑑みるの例文・使い方は下記の通りです。鑑みるはそれほど様々な意味合いで用いられることはありません。
しかし、正しい使い方とそれっぽいが間違った使い方が混同されているため、あなた自身が意味を理解しておくことが大切になります。
鑑みるの例文・使い方1|「鑑みた結果〜だった」
「鑑みた結果〜」という言葉で続く文書や説明を見たり聞いたりしたときは、「鑑みた結果」を「照らし合わせた結果」と読み替えましょう。
照らし合わせた結果に変換して意味が通じない文章や説明になった場合には、誤用の可能性があります。この場合、「考慮した結果」「振り返った結果」「考えた結果」とさらに言い換えをしてみます。
「考慮した」をさらに深い意味を持たせるニュアンスにするために使われている場合があるので、読み手側に注意が必要ですね。
- 前年同月比の数値に鑑みた結果、今年度の計画を見直す方針を固めた。
鑑みるの例文・使い方2|市況に鑑みる
市場での商品・株の取引の状況のことを「市況」といいますが、市況を見ることで景気の良し悪しや業界の取引状況を踏まえることを「市況に鑑みる」と表現することがあります。
- 市況に鑑みて、追加的な投資を検討することが決定された。
鑑みるの例文・使い方3|前年の売上に鑑みる
「前年の売上高」「昨年度の業績」「前年度の人員構成」など、ビジネスの状況・結果を左右するデータと照らし合わせて方針を変更したり、策定したりする場合にも鑑みるを使います。
- (前年の売上・業績など)に鑑みて、大幅な指標の下方修正を行う必要性が出てきた。
鑑みるの例文・使い方4|「〜に鑑みずに…する」
「〜に鑑みずに…する」という表現は一般的ではありませんが、このように使う場合、「先例などを踏まえずに…する」という意味になります。
- 失敗事例に鑑みずに行動した結果、同じ失敗を繰り返してしまう。
鑑みるの例文・使い方|その他の鑑みるの例文・使い方一覧
「鑑みる」の例文や使い方を一覧でご紹介しています。鑑みるが使われるほとんどの用例を掲載しているので、ビジネスや日常生活で目にする「鑑みる」はおおよそ理解できるでしょう。
- 過去の事例に鑑みて、今回は〇〇という対策を実行に移すべきである。
- 前回の失敗に鑑みてやるべきことをリストアップしていく。
- 過去の実績に鑑みると、彼は今回もこのくらいの売上をあげてくれそうだ。
- 先例に鑑みた結果、今回の方法ではうまくいかない可能性があります。根拠としては…
「事例や過去の出来事に照らし合わせて考えた結果どう考えられるか?」を説明するときに使いましょう。
鑑みると似ている言葉との違い|踏まえる・顧みる・考慮する・慮る
「鑑みる」は、ビジネスや日常生活で必ず「正しい使い方」がされているわけではありません。ケースによっては、出版されている書籍でも誤用が起きている場合があります。
しかし、もっと難しいのは類語との関係や意味の違いです。
ここでは、鑑みるとニュアンスの異なる言葉との関係・違いについて解説していきます。
鑑みると踏まえるの違い
類語のひとつとしてよく疑問・質問にあげられるのが「踏まえる」との違いです。
踏まえるとは「物事の判断・考え方の根拠にする」という意味合いがあります。そのため、過去の事例を参考にするというニュアンスでは同じ意味を持つと考えて良いでしょう。
ただし、鑑みるが「先例に照らし合わせて考える」ことを表すのに対して、踏まえるは「先例を参考にして判断する」ことを表します。
つまり、鑑みるは事例と今の状況を照らし合わせる作業をするのに対して、踏まえるでは事例を基準として今の状況を判断するという意味があります。
踏まえるのほうが、決めるスピードが早く、考える量が少ないというニュアンスになりますね。
鑑みると勘案する(かんあんする)の違い
「あれこれと考え合わせること」を勘案する、と表現します。
一方、鑑みるは、事例や先例に照らし合わせて行動したり、判断したりすることを表す言葉です。
つまり、鑑みる中で、先例や事例をもとに「勘案する」こともありうるでしょう。
鑑みると顧みる(省みる)の違い
鑑みると顧みる(省みる)という言葉も似ています。しかし、この2つには大きな違いがあります。
顧みる(省みる)には、「過ぎたことを思い起こすこと」「振り返ること」という意味がありますが、これは人の感情に関係することです。
たとえば、懐かしい思い出を振り返ったり、大切だと感じることを思い出したり…というニュアンスです。
一方、鑑みるは、事例や過去の先例をもとに今の状況を考えることを指します。
そのため、顧みるのように感情を入れるわけではなく、あくまで客観的な分析をおこなうことを表します。
鑑みると考慮するの違い
鑑みるとほぼ同じように使われることの多い「考慮する」ですが、考慮の意味を調べると、鑑みると意味が大きく違うことに気づくことができます。
考慮するとは、「判断や行動を起こす前に、いろいろな要素を考えることや思いを巡らすこと」を指す言葉です。たとえば、「〇〇を考慮に入れる」「気持ちを考慮する」という用法があります。
考慮するという場合には、たとえば過去の実例がなく、全く新しいことを始めなければならないとき、使う言葉であるといえますね。
一方、鑑みるという場合には過去に同じような実例があるから、それを参考にしつつ次の行動のために考えることを指します。
一言でいうなら、実例がすでにあるかないかで考えると分かりやすいです。
ただし、「考慮する」という言葉は「過去の経験を考慮に入れて…」「過去の事例を考慮して…」という使い方があります。
そのため、主に先例を基準に今の状況を分析する場合には「鑑みる」を、新しい要素を取り入れて考えることに「考慮する」を使うようにすると良いでしょう。
鑑みると慮るの違い
慮る(おもんばかる)とは、「物事や他人に対して深く考える」「思い巡らす」ことを意味する言葉です。
そのため、鑑みるよりも主観的であり、より感覚的・感情的に寄り添う意味合いを持ちます。
鑑みるの同義語・類語・言い換え語
ここでは、鑑みると同じ意味、もしくは類語となる言葉について解説しています。
ニュアンスの違いにより、鑑みるよりもふさわしい表現が必要になる場合もあるので、合わせておさえておきましょう。
特に鑑みるでは、公用文で頻繁に用いられる言葉であり固い印象を保たれます。使用するシチュエーションに注意が必要です。
鑑みるの類語1|振り返る
過去を改めて思い浮かべ考えることを振り返ると表現します。「過去の事例に鑑みて〜」は「過去の事例を振り返って〜」と言い直すことができます。
鑑みるの類語2|参考にする
事例や特定の情報をもとに行動したり考えたりすることを「参考にする」と表現します。これも「〜に鑑みる」=「〜を参考にする」と言い換えることができます。
鑑みるの類語3|念頭に置く
「念頭に置く」とは、常に何らかの考え方や情報を心がけていることを表す表現になります。
考察を深めていく際や、より発展的な議論へと進む場合に使うことができます。
鑑みるの類語4|照らし合わせる
同様の事例や似ているケースを合わせて比べ、確認することを「照らし合わせる」と表現します。
鑑みるの場合は過去の事例と照らし合わせることといえるので、ほぼ同じ意味で使うことができます。
鑑みるの類語5|慮る
「慮る」は人を対象として深く考えたり思いを巡らすことを指すため、鑑みるよりも使い方が限定的です。
「彼はいつも組織のメンバーの感情を慮っていた」などのように使います。
鑑みるの類語6|回顧する
「回顧する」とは、過去を顧みることを意味する言葉であり、「顧みる」と同様の意味を持ちます。
過去のことや人物を思い出すときには「回顧する」を使用し、過去の事例や先例に照らし合わせて考えるときには「鑑みる」を使用する形になります。
その他の「鑑みる」の類語一覧
「鑑みる」では伝わらない!というシチュエーションの場合には、下記の言葉で言い換えて使うと良いでしょう。特に照らし合わせては分かりやすい言葉です。
- 顧慮(こりょ)する:考え気にかける
- 斟酌(しんしゃく)する:相手の事情や感情を汲み取る
- 視野に入れる:情報を取り入れ物事の選択肢や可能性を増やす
- 踏まえる:その情報を前提として考える
また、簡単なことなら「踏まえて」と表現したほうがふさわしい場合がありますので、状況によって使い分けましょう。
鑑みるの対義語
鑑みるにははっきりとした対義語があるわけではありません。
そのため、反対の意味となる言葉としては、「考慮に入れない」「踏まえない」など類語の否定で表現する必要があります。
「鑑みる」の語源・由来
ここでは、鑑みるの英語や、言葉の語源・由来について見ていきます。
由来を知ることで、ビジネスや日常生活で「鑑みる」を使うべきタイミングがわかりやすくなります。
また、英語に触れる機会のあるビジネスパーソンも多いと思いますので、英語にすると鑑みるがどのような熟語になるのかを知っておきましょう。
鑑みるの漢字「鑑(かがみ)」の意味|「物の形を映すもの」
鑑みるという言葉には「鑑(かがみ)」という漢字が含まれています。
「鑑」は「図鑑(ずかん)」「印鑑(いんかん)」「名鑑(めいかん)」などにも使われており、「物の形をうつすもの」「手本」という意味を持つ漢字です。
「〇〇の鑑だ」という風に能力の高い人を評価する言葉を聞いたことのある人もいると思いますが、その場合の「かがみ」とは「鏡」ではなく「鑑」、お手本のことを指します。
つまり、鑑みるとは「手本を参考にする」「手本を反映させる」という行動を指します。
鑑る(かがみる)が変化し「かんがみる」という読み方になったものとされています。
鑑みるの英語表現
鑑みるは基本的に「…に鑑みて」と文中で使います。
そのため、英語でも下記のような熟語で使用されますので、3つを覚えておくと便利です。
- in view of…
- in consideration of…
- in the light of….
いずれも、日本語に訳すと「…に鑑みて」となります。
「In view of her presentation skills, she should prepare for her presentation from 2 months ago.」であれば、「彼女のプレゼンスキルに鑑みて、彼女は2ヶ月前からプレゼン準備をすべきだ」となります。
鑑みるの意味や定義、そしてビジネスシーンにおける使い方・使われ方を解説してきました。
ここまで読んできた方は、鑑みるの本来の意味や定義について、これまで自分が知っていたこと以上に深い教養・ボキャブラリーが身についたと感じるのではないでしょうか?
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1 転職活動に失業リスクはない!
転職活動を始めるにあたって最も不安なことは、「転職活動をすると、失業するのではないか?」というものだと思います。
一般に、仕事を辞めたり、退職して他の仕事を始めたりすることには、ネガティブなイメージを持つ方も大勢います。しかし、それは”間違い”です。
大手転職サービスを運営している「リクナビ」が公開しているデータには、こう書かれています。
20代では76%が「転職経験なし」という結果となっています。30代になると「転職経験なし」の割合は一気に減少し、半分以上の人が転職を経験。4人に1人は「転職1回」、そして約3割の人が「2回以上の転職」を経験しているという結果になりました。
20代では「10人中3人以上」、30代では「4人中1人以上」の人が転職活動を経験しています。
つまり、今では転職活動自体はそれほど珍しいことではなく、むしろそれが当たり前になってきているのが現状です。
ではなぜ、転職活動をすることができる人が増えているのでしょうか?理由は大きく2つあります。
理由1 「中途採用を積極的におこなう企業が増えた」
人材市場・転職市場の動向をアンケートをもとに調査しているリクルートワークスが公開したデータでは、近年は中途採用を積極的におこなう企業が増えたことが示されています。
2018年度の中途採用の見通しについては、「増える」(18.6%)が「減る」(4.0%)を大きく上回っている。
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理由2 「転職活動を在職中にできるサービスが増えた」
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4 新しい環境と今の環境の比較はカンタンにできる
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