「この職場から転職するべきかどうか?」を考えるためには、これまでの自分のキャリアや将来に渡るキャリアプランを考え直す機会になります。また、転職することが一般的になっている時代においては、転職する動機にも様々なものがあります。
一方で、考えが浅いまま転職してしまったり、自分を客観的に見ることができず転職を繰り返し、同じことで悩み転職を後悔してしまう事例も後を絶ちません。
そのため、転職で満足する人と、転職をただ繰り返してしまう人には大きな違いがあることがわかります。では、転職を繰り返す人にはどのような特徴があるのでしょうか?
今回の記事は、今後の自分自身のキャリアを考え直すきっかけとして、転職に悩んでいる方に参考にしていただける内容になっています。
転職を繰り返してしまうとどうなる?|転職を繰り返すデメリット
転職活動を行うこと自体は一般的になってきました。また、職場を2回以上変え、キャリアを幅広く積む選択肢も、決して例外的なことではなくなりつつあります。
しかし一方で、転職の意思決定は慎重に行う必要があります。なぜなら、あなたが転職した動機や理由を、企業側が信頼できる形で知ることはとても難しいからです。
そのため、転職を複数回行うことはデメリットも多いといえます。具体的には、下記のようなデメリットがあげられるでしょう。
1 前職よりも良い待遇条件で転職できるかは未知数である
転職活動自体にはリスクはありません。転職先を決める際に雇用条件・勤務地・給与などについてリサーチしておくことさえできれば、前職より待遇の良い条件を探すことは可能です。
しかし、転職をなんども繰り返すことでひとつひとつの社歴や経歴が中途半端なものになってしまうと、企業側としては評価できるスキル・能力がわからず待遇が低くなってしまう可能性があります。
2 転職回数が多い=馴染む職場が少ないと見られる可能性がある
企業により転職回数をどのように判断するのかについては大きな差があります。そのため「転職回数が多い=転職に不利である」とは必ずしも言えるわけではありません。
しかし、面接で話す前職の退職理由や、職務経歴書・履歴書に記載する転職歴などで明確に転職した背景について語ることができなければ、企業側からは「この人は職場に馴染むのが難しい」と判断されるかもしれません。
そのため、転職を検討する際には、自分のキャリア上「この転職には○○という意味がある」とキャリアのプランを描いておくことが重要になります。
3 年齢やキャリアが増えると「即戦力」としての能力が求められる
30代になってから転職を頻繁に繰り返すことにはデメリットが多いです。なぜなら、年齢やキャリアが増えることにより、企業側からは「特定の専門分野に長けている人材」としての能力が求められるからです。
あなたが、20から現在にかけて積んできたキャリアは、30代以降の転職活動に重要な意味を持ちます。
そのため、「20代のうちはなんとかなる」と安易に転職するのではなく、30代以降の働き方をある程度計画した上で転職を検討するべきでしょう。
転職の検討や今後のキャリアを考えることは重要です。
また、世の中全体の動きを見ても、副業解禁や労働時間の削減など、働き方そのものが変化しつつありますから、転職を考えようとする方々は今後も増えていくはずです。
しかし一方で、時代の流れに身を任せずに、安易な転職ではなく明確な目的やプランを踏まえて転職を検討することが求められます。
では、「安易な転職」を繰り返してしまう人の特徴とはどのようなものでしょうか?
転職をなんども繰り返してしまう人の特徴と注意点
安易な転職は、明確なキャリアプランや目指す働き方を決めぬまま衝動的に転職してしまうことを指します。一見、自分の働き方を真剣に考えているようであっても、思わぬ落とし穴があることがあります。
結果として、なんども「この職場は自分に合わない」と感じ、長続きしない働き方を繰り返してしまうのです。
そのようなことに陥らないように、転職を何度も繰り返してしまう人の特徴と注意点を見ていきます。
1 「やりたいこと」がない人
「やりたいことがない」と考えている人は、仕事内容・人間関係・将来性などを理由に職場を簡単に離れてしまう傾向があります。
現状に対して不満を持ってしまった時、それをそのまま「これは自分がやりたいことではないんだ」という考えに結びつけてしまう結果、転職グセがついてしまうパターンです。
こういった傾向にあるな…という人は、まず「やりたいことをやれる仕事」と「不満や悩みがまったくない仕事」はまったく異なるということを認識するべきです。
そのうえで、あなたが将来的に目指したい年収・職種や専門性・企業や業界を選ぶべきです。
働きたい業種や目指したい年収に関しては、転職サービスを利用することで見つけることが可能ですが、それは「やりたいこと」を自分自身がどう認識しているかが前提になります。
2 給料の額面にとらわれている人
給料の低さ・高さだけで仕事を選んでいることも、転職を何度も繰り返す人に多い考え方です。「転職活動で給料アップできる可能性があること」は、転職活動のひとつのメリットです。
しかし、そもそも昇給するためには「現職で適切に評価されていない専門性・スキルがあること」が前提になっています。当然ですが、これは給与の額面だけにとらわれていると忘れがちです。
会社の給料に納得いかないとほかの企業に目移りする前に、自分の年齢・職種・専門性で適正年収を調査することが前提になります。
3 会社の将来性に関する誤解をしている人
会社の将来性に不安を感じ転職を検討している人の中にも、転職をなんども繰り返してしまう傾向にある人がいます。
会社の業績をつぶさに見ている人は、それだけ帰属する会社への不安や批判的な目線が強いため、自分のキャリア形成に役立つ情報収集ができているといえます。
しかし一方で、それを自身の売り上げ目標の未達成や日々の仕事の忙しさという具体的な不満に直接繋げてしまことには注意が必要です。
もちろん、労働環境が悪いのであれば転職を検討するべきですが、あなた個人ができることはまだ残されていないでしょうか。一度冷静になって考えてみることが大切になります。
4 勤務時間・労働時間に不満を持ちやすい人
「勤務時間が長い」と不満を持つ人の中にも、転職を何度も繰り返してしまう傾向を持つ人は存在します。
職場では、時に自分の仕事自体が完了していても、突如緊急の仕事が入り残業を余儀なくされるケースや、業務配分が適切ではなく、あなた個人にタスクが変調してしまうこともあり得ます。
それが状態化しているようなら、転職も検討するべきでしょう。
しかし、会社の将来性への誤解と同様に、単なる自分自身の働き方や仕事術に問題があるケースも少なくありません。
本当に会社全体として勤務時間に問題があるのか、それともあなた自身で解決できる手立てがあるのかについても、冷静に考えて見ましょう。
5 転職すれば経験やスキルが身につくと考えている人
「転職しさえすれば、今よりももっと経験・スキルが身につく」と安易に考えている人は、たとえ多くのことを学べる環境でも経験・スキルを身につけることは難しいでしょう。
なぜなら、経験・スキルを得ることができる条件は職場環境だけではないからです。実際に自分が経験・スキルを今の環境から得ようとしているかどうかという条件も含まれます。
これは、精神論ではなく具体的な仕事の進め方に現れるものです。たとえば、現職で取り組んでいる仕事に関して1ヶ月前、1週間前よりも進歩している点があるかを考えてみましょう。
なにも思いつかない方は、転職しても経験・スキルを得ることは難しく、また同じように他の職場に目移りするだけになってしまいます。
6 「転職=キャリアアップ」だと考えている人
会社としての規模が大きい職場に転職することは、大手志向のビジネスパーソンにとってはこの上なく目的に沿った転職先です。
しかし、キャリアアップと会社の規模には相関があるわけではありません。会社の価値と自分自身のキャリアは関係することはあれど、どちらか一方が上がれば必ず向上するものではないからです。
また、会社の規模で転職を考えている以上、それ以上に規模の大きな会社に目移りした時点で、また転職を繰り返すことになるでしょう。
まとめ|転職をただ繰り返す人にならないために
今回は、転職をなんども繰り返してしまう人の特徴と注意点を解説してきました。
安易な転職も、現在はやろうと思えばできてしまう時代に突入しています。しかし、長期的な目線で自分自身の働き方を考えるのであれば、いっときの判断基準で転職を繰り返すべきではありません。
転職を検討する際には、上記の転職を繰り返す人の特徴に自分自身が当てはまっていないかをチェックし、慎重に転職活動を始めるべきでしょう。