「義務」とは、「法律上または道徳上、人や団体がしなくてはならない、また、してはならないこと」という意味を持つ言葉です。
義務という言葉は法律用語としてだけではなく、日常生活でも頻繁に使われる言葉なので、何となくわかったつもりで使ってしまっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、あなたの使い方によっては間違っている可能性があります。
正しい意味でボキャブラリーを高めていきたいとあなたも考えているはず。
そこで今回は、義務の本来の意味や定義を解説するとともに、例文や使い方についてわかりやすく解説していきます。また、類語・言い換え語との違い、対義語の意味についても触れていきます。
「義務の意味、ちょっとあやふやだな」という方はぜひ参考にしてください。
「転職活動を始めたい」と少しでも考えている方は、ぜひ下記記事をご覧ください。
INDEX
義務の意味とは?
義務(ぎむ)とは「法律上または道徳上、人や団体がしなくてはならない、また、してはならないこと」という意味を持つ言葉です。
ぎ‐む【義務】
1 人がそれぞれの立場に応じて当然しなければならない務め。「義務を果たす」⇔権利。
2 倫理学で、人が道徳上、普遍的・必然的になすべきこと。
3 法律によって人に課せられる拘束。法的義務はつねに権利に対応して存在する。「納税の義務」⇔権利。
義務の意味1|果たさなければいけない務め(社会的義務)
義務の第一の意味は、「人が立場に応じて当然すべきとされる務め」のことを指します。
あなたが家庭や仕事で当然「こうするべきだ」「こうしなければならない」という行為は、すべて義務とみなすことができます。
一方、対応する考え方として「権利」があります。こちらは、「こうすることが当然できる」「こうすることが認められている」というものです。
- 父親として自分の子どもを厳しく躾ける義務がある。
- 新入社員の義務は、とにかく早く仕事を覚えることだ。
- 私には、彼の恩に報いる義務がある。
義務の意味2|人が道徳上、普遍的にやるべきこと(道徳的・倫理的義務)
「義務」の2つ目の意味には、「人が道徳的に考えて普遍的にやるべきこと」や、「人が必然的にすべきこと」という意味があります。
この「普遍的に」「必然的に」という考え方は、「倫理学」における「義務」の定義に含まれています。
倫理学では、義務とは「絶対的に必然性と普遍性を持った法則の存在が前提としてあり、その法則が人へ命令・強制をすること」としています。
- 困っている人が目の前にいたら、自分だけでも助けようと努力するのは普遍的な義務である。
義務の意味3|法律によって拘束力を持つ約束(法的義務)
義務の最も多い使われ方は、「法律によって拘束力を持つ約束」という意味の義務になります。この義務を「法的義務」と言います。
法律で規定される義務は常に「権利」と対応しています。
たとえば、日本国憲法で定められた三大義務とされる「教育の義務(26条2項)」「勤労の義務(27条1項)」「納税の義務(30条)」は、義務であると同時に権利でもあります。
補足|義務と強制は少し違う
一般的な用法として、「義務」と「強制」は同じ意味を持つ言葉として使われることが多いです。
ただし、義務は「しなければならない」が前提ですが、しなければならないことをしない場合には、罰則や不利益などのペナルティが発生し、一応「しないという選択肢」を選ぶことができます。
一方、「強制」は有無を言わせず当人に一定の行為を強引にさせることを意味する言葉であり、「しないという選択肢」がない場合に使います。
「国民の三大義務」の意味とは?
日本国憲法で定められている国民の義務の総称を「国民の三大義務」と呼称します。憲法の権利規定が多様であるのに対し、国民に対する義務規定は3つしかありません。
ここでは、国民の三大義務をそれぞれ解説していきます。
憲法26条「教育の義務」
憲法26条に定められている国民の義務が「教育の義務」です。
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
引用:日本国憲法 – 衆議院
憲法26条の最初の段落(1項)では、すべての国民に対して「教育を受ける権利」があることを規定しています。
また、2項では「保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と規定されています。これが「教育の義務」です。また、この普通教育は「無償」とも規定されています。
つまり、ここで規定されている義務は、教育を受ける子どもではなく、「親」に対して発生しています。
憲法27条1項「勤労の義務」
「勤労の義務」は憲法27条1項に規定されているものです。
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
引用:日本国憲法 – 衆議院
1項では「勤労の権利(働くことのできる権利」)が誰にでもあることを規定し、それと同時に「働く義務がある」ということも規定しています。勤労の義務を示す条文では、はっきりと権利と義務の対応関係が示されています。
憲法30条「納税の義務」
憲法30条で規定されているのが「納税の義務」です。
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
引用:日本国憲法 – 衆議院
「法律の定めるところにより」と書かれていることから、日本国民は「法律に定められた税金を支払う」ことが規定されています。この「法律に定められた税金を支払う」ことを「租税法律主義」と呼びます。
憲法30条では、納税の義務に対応する権利が一見ないように見えますが、租税法律主義下では、民主政治のもと「適切ではない税金」「重すぎる税金」を払うことがないように、不適切な税法が作られません。
このような、不適切な税法が作られないこと自体が「納税者の権利」であると捉えることで、権利と義務の関係があることがわかります。
義務の使い方と例文
ここでは、法的な義務の使い方だけではなく、日常生活で使われる義務の例文・使い方まで解説しています。
義務の使い方と例文1|「義務違反」
主に法律の義務に対する違反のことを「義務違反」と言います。たとえば、「安全運転義務違反」や「秘密保持義務違反」などが挙げられます。その他、ビジネスシーンでは就業規則の「周知義務違反」などもあります。
基本的には、法律で定められた義務を怠った場合の罰則などが定められており、相応のペナルティが発生します。
ただし、義務を定めているが罰則規定がない法律条文や、事実上罰則がなされないケースなどもあり、ただちに義務違反=ペナルティ発生となるわけではありません。
- 就業規則への義務違反を繰り返したことによる懲戒解雇。
- 安全運転義務違反により罰金を支払うことになった。
義務の使い方と例文2|「義務教育」
義務教育とは、憲法26条に規定されている「教育の義務」により規定されている義務による教育のことで、小学校6年、中学校3年までの9年間の教育のことです。
国、地方自治体、保護者が子どもに教育を無償で受けさせる義務のことを指します。
- 義務教育すらまともに受けさせてもらえない家庭環境に育つ。
- 義務教育だけではまともな教養は身につかない。
義務の使い方と例文3|「権利と義務」
権利と義務は、法律で規定される場合には対応関係にあります。つまり、一方的に義務だけが課されてしまうということはありません。
一方で、日常生活では「○○することの代償」というニュアンスで「権利と義務」が使われます。
- 自由を享受し権利を声高に主張するのであれば、批判を受け他人から非難されるという義務もあるのではないか。
- 権利と義務はセットで語られるべきだ。
義務の使い方と例文4|「法的義務」
「法的義務」とは、法律の条文の中で規定される国民に対する義務のことを指します。
- 未成年は飲酒禁止という法的義務がある。
- 法的義務を把握せずに会社を経営するのはご法度だ。
義務の使い方と例文5|「絶対的平和義務」
労働協約(労働組合と使用者・使用者団体との間に締結される協約)の有効期間中に、「協約に定められた時候の廃止・変更を求める争議行為を行なってはならない」という法的義務を「相対的平和義務」と言います。
それに対し、協約の有効期間中はあらゆる事項について一切の争議行為を禁止するという義務を「絶対的平和義務」と言います。
義務の語源・由来
義務は、明治初頭に「duty(義務、任務など)」「obligation(義務、責務、恩など)」の訳語として作られたのが由来になります。
義務の「義」は、ここでは恩恵に対して報いるという意味を持ち、「務」は「務める(つとめる)」とも書くように、「他人に対して労役などを提供すること」を指します。
義務の英語表現
duty
義務の類語・言い換え語
役 ・ お役 ・ お役目 ・ 務め ・ 努め ・ 役儀 ・ 勤め ・ 責め ・ 役目 ・ 責務 ・ 責任 ・ 務 ・ 御役
義務の対義語・反対語|「権利(けんり)」
「権利」となります。
法的義務の場合、規定される義務は権利と対応関係にあります。
義務の意味や定義、使い方と例文について解説してきました。
ここまで読んできた方は、義務の本来の意味について、これまで自分が知っていたこと以上のことを知ることができたと感じるのではないでしょうか。ここまで読んでいただきありがとうございました。
ぜひ、今回知った知識を活かし、さらにスキルアップを目指したり、教養を深めていってくださいね!
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ここでは、今の職場や待遇、働き方に不満を抱いている方に向けて、転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
転職活動というと、下記のようなイメージがあるのではないでしょうか?
- 「失業リスクがある」
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- 「転職すると給料が下がる」
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しかし、この4つの不安は下記の「4つのコツ」で解消することができます。転職したいと考えているけど、不安を解消できないと感じる方はぜひ参考にしてください。
1 転職活動に失業リスクはない!
転職活動を始めるにあたって最も不安なことは、「転職活動をすると、失業するのではないか?」というものだと思います。
一般に、仕事を辞めたり、退職して他の仕事を始めたりすることには、ネガティブなイメージを持つ方も大勢います。しかし、それは”間違い”です。
大手転職サービスを運営している「リクナビ」が公開しているデータには、こう書かれています。
20代では76%が「転職経験なし」という結果となっています。30代になると「転職経験なし」の割合は一気に減少し、半分以上の人が転職を経験。4人に1人は「転職1回」、そして約3割の人が「2回以上の転職」を経験しているという結果になりました。
20代では「10人中3人以上」、30代では「4人中1人以上」の人が転職活動を経験しています。
つまり、今では転職活動自体はそれほど珍しいことではなく、むしろそれが当たり前になってきているのが現状です。
ではなぜ、転職活動をすることができる人が増えているのでしょうか?理由は大きく2つあります。
理由1 「中途採用を積極的におこなう企業が増えた」
人材市場・転職市場の動向をアンケートをもとに調査しているリクルートワークスが公開したデータでは、近年は中途採用を積極的におこなう企業が増えたことが示されています。
2018年度の中途採用の見通しについては、「増える」(18.6%)が「減る」(4.0%)を大きく上回っている。
つまり、転職市場は「売り手市場」で、人手不足は飲食業界・情報通信業界(IT)・不動産業界を中心に活発に採用活動が行われていることを示しています。
理由2 「転職活動を在職中にできるサービスが増えた」
転職市場が売り手市場だといっても、「実際に自分のもとに内定が来るかは分からない」という不安は残りますよね。
しかし、その点についても心配いりません。今では、「働きながら転職活動をすること」がふつうです。
たとえば、一昔前までは、下記のすべての転職準備を、自分で調べながらやる必要がありました。
- 求人を探す
- 履歴書・職務経歴書を作成する
- 面接準備をして面接日程を応募企業と調整する
- 面接を1次〜3次まで突破する
- 給与条件や入社日を人事側と調整する
- 今の会社を辞めるための退職手続きや保険関係の手続きをおこなう
これだけ見ても、かなり大変であることがわかりますよね。
でも今は、「転職エージェント」を活用することができます。
転職エージェントとは、あなたの代わりに希望条件に合った求人を選び、人事側とスケジュール調整をしてくれたり、履歴書や職務経歴書の添削サポートをおこなってくれたりする無料サービスです。
そのため、転職するために仕事を先に辞める必要はありませんし、会社にバレる心配がありません。また、自分で準備するのは最小限にしたうえで転職活動をおこなうことができます。
…
以上2つの理由から、転職活動にリスクがないことがおわかりいただけたのではないかと思います。転職エージェントについてもっと詳しく知りたいという方は下記記事をご覧ください。
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おすすめ転職エージェントは下記記事でご紹介しています。活用法や利用の流れも解説しているので、「転職エージェントを選びたい」という方はぜひ参考にしましょう。
また、「自分で求人を探したい」「自分のペースで求人を見てみたい」という方は、こちらの「転職サイトランキング」を参考にしてくださいね。
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2 これまで積み重ねてきた経験・キャリアは転職で活かせる
転職するときの悩みのひとつとして多くあげられるのは、「これまで積み重ねてきた経験・キャリアがムダになってしまうかもしれない」という不安です。
特に、30代前後である程度長く職場で働いてきた方や、エンジニアや金融・不動産などの専門的な営業をしてきた方は、そう感じることも多いでしょう。
これまで得てきた経験を活かすには、「同じ業界・職種/業種で活躍することができる仕事」を探すことが大切になります。
「同じ業界・職種/業種」で活躍することができる仕事を探すには、「業界・職種/業種に特化した転職エージェントや転職サイトを使うこと」をおすすめします。
あなたの経験・キャリアを正しく評価してくれる職場であれば、今の給料よりも高い金額を提示してくれます。
もしなかったら、そのときは転職をしなければ良いのです。
業界・職種/業種専門の転職エージェントや転職サイトとは、たとえば「IT業界に特化した転職サービス」「広告業界に特化した転職サービス」「看護師・保育士・介護などの転職サービス」など様々です。
業界特化型の転職サービスや、特定業界に強い転職サービスは、TOPページで掲載しています。
どんな経験・キャリアであっても、それを評価してくれる職場は必ず存在します。
もちろん、経験・スキルによって大幅に求人の見つかりやすさや条件は変化しますが、「今の職場に不満を感じている」のであれば、転職活動を始めてみるべきですよね。
3 転職しても給料は下がらない
「転職すると給料が下がる」と何となく悪いイメージを持っている方はいないでしょうか?
それはあくまでリストラなどが行われた過去の話です。今でもリストラの危険性がまったくないわけではないですが、自発的におこなう転職活動で給料が下がることはありません。
それはなぜかといいますと、最初に給与条件を検索できる転職サイトや、給与条件を代わりに交渉してくれる転職エージェントは無数に存在するからです。
特に、あなたの代わりに給与交渉をおこなってくれる転職エージェントに依頼することで、年収アップが可能です。
年収アップ転職をしたいと考えているなら、下記に掲載されている転職エージェントのうち、特に自分に会っていそうなものを順位1位から見てみることをおすすめします。
また、実際に今のあなたの職種・業種の求人が一般的にどの程度の年収なのかを調べることも大切です。そんな方は転職サイトに登録し、職種/業種の条件から求人を探してみることをおすすめします。
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4 新しい環境と今の環境の比較はカンタンにできる
転職活動自体はスタートでしかなく、本当に大切なのは「実際に内定をもらい入社したあとに後悔しないか?」という不安を解消することですよね。
「こんな職場に転職するくらいなら、以前の職場にいたほうが良かった…」という後悔をしたくない方は、転職活動に後ろ向きなはずです。
しかし、今の職場に不満を持っている方こそ、転職エージェントを使うべきです。
それはなぜかといいますと、転職エージェントでは応募先企業の内情や上司の情報、会社の雰囲気や残業時間の実態などについて詳しく教えてくれるからです。
あなたは、今の職場に不満を感じているからこそ、「転職先の内情」をしっかり知ったうえで転職したいと考えているのではないでしょうか?
実際に転職するかどうかは置いておいて、今の職場をほかの職場と比較してみることで、あなたが本当に満足できる仕事を見つけることができるでしょう。
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参考:義務 – ウィクショナリー日本語版 – Wiktionary