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「乖離」とは物事の結びつきが離れることを表す言葉です。
乖離は日常生活ではあまり頻繁に使われない言葉ではありますが、ビジネス文書や形式が硬い文書ではよく用いられる言葉です。また使う機会がない一方で、意味は多少複雑です。
似ている語句なども多くあるため、一つ一つの意味を正確に知っておかないと誤用する可能性があります。
そこで今回は、「乖離」の本来の意味や定義を解説した後に、乖離の例文や使われ方、そして類語との違いなど、解離のニュアンスを理解するための情報を解説しています。
いつ使うか分からない極かもしれませんが、覚えておいて損はありません。少しでも「意味があやふやだな…」と感じる方は、ぜひ参考にしてください。
「転職活動を始めたい」と少しでも考えている方は、ぜひ下記記事をご覧ください。
「乖離」の読み方|「かいり」
「乖離」はかいりと読み、物事が離れ離れになっていることを表す言葉です。
かい り くわい- [1] 【乖▼離】( 名 ) スル
そむきはなれること。はなればなれになること。 「現実から-した議論」
「乖離」の意味|「そむきはなれること」「かけはなれている」
「乖離(かいり)」とは、物事の結びつきが離れることを表す言葉です。物事とは人間関係や人の心といった抽象的な概念のこと全般を表します。
かい‐り〔クワイ‐〕【×乖離】
[名](スル)そむきはなれること。結びつきがはなれること。「人心から乖離した政治」
政治への関心が薄れて行きていることを「政治からの乖離」と表現したり、人間関係が希薄になることを「人間関係の乖離」と表現したり…何かと何かの結びつきが離れてしまうことを表現します。
人に限らず物事全般に使える
意思や目的が相反する関係性になってしまったときや、本来は運命共同体のような関係だった2つの存在が離れてしまうことを指す場合もあり、使い方は多彩です。
人・モノに限らず、結びつきが強いものが何らかの理由で離れてしまうことを「乖離」と呼ぶことができます。
ただ、乖離には「乖く(そむく)」という言葉が使われているため、人の感情や考えが宿っているものに関して使うのが一般的です。
物理的なものは、人間関係だと「離別」、物理現象だと「剥離」「分離」とそれぞれ当てはまる表現があるため、使い分けが重要になるでしょう。
また、「解離」といった似たような言葉と間違われて使われることもあるため、実際にビジネスシーンや日常生活でこの言葉を使うときには、意味の違いに注意する必要があります。
解離と乖離の意味の違い
「解離(かいり)」は、読み方が乖離と同じ「同音異義語」です。
そのため、意味が少し異なります。
「乖離」は、もともと強い結びつきがあった2つの物事が離れることを表します。
一方、「解離」は、もともと同じもの(1つのもの)だったものが分かれることを指します。
たとえば、会社を経営している創業者メンバーのうち1人が、社長の意見や方針に納得いかず辞めることは「乖離」と呼ぶことができます。
しかし一方で、会社の創業者2人がそれぞれの事業を2つにわけて経営し始めたという場合には、会社というもともと1つのものを分けた、という意味で「解離」になるでしょう。
今の例を読んでお分かりいただけたかと思いますが、この「解離」と「乖離」の使い分けは頭で考えると少し複雑に感じます。
そのため、ニュアンスで「これは乖離だな」と事例を分析してみるのも面白いかもしれませんね。
差異と乖離の意味の違い
「差異」と解離も間違えやすいので注意が必要です。「差異」とは、「他のものと比較したときの違い」のことを指します。
そのため、「差異がある」という場合には、もともと違うものを比較したり、その差を表したりするというニュアンスがあります。
たとえば、「人の命よりもお金が大事」と考えている人は、そうでない人と考え方に差異がある、と表現できます。
一方、もともとは「人の命のほうがお金よりも大事だ」と考えていた人が、とある出来事を境に逆の考え方になった場合には「もともとの考え方と乖離している」と表現できるでしょう。
もともと一緒だったものが離れたことを解離、元々別のものを比較したときのことを差異とおぼえておけば間違いありません。
剥離と解離の意味の違い
剥離とは、物理的にものが剥がれて取れることを表す言葉です。そのため、人の心などが離れることを剥離とは言わない点に注意が必要です。
「剥離」という言葉もまた、「乖離」と似た音の響きや漢字が使われており、意味や使い方を混同してしまう方も少なくないと言われています。
塗装が剥がれる、カバーが剥がれる、シールが剥がれる…などと言う表現にのみ使います。
乖離と齟齬の意味の違い
「齟齬(そご)」とは、「意見や事柄がくいちがい合わないこと」を指す言葉です。乖離は物事や意見が離れ離れになることなので、齟齬と乖離には「人の意見や物事が合っていないこと」を表す点で同じといえます。
ただし、乖離の場合は食い違うだけではなく、それにより離反したり、背き離れることも含まれています。
具体的には、「AさんとBさんの会話内容には齟齬がある」場合には、その齟齬を解決すれば問題が起こりません。
一方、「AさんとBさんの会話内容には乖離がある」という場合には、そもそも前提とする価値観や意見の違いがあり、それによって共に議論したり同じ組織で働けなくなったりするなどのことまで指しているということができます。
乖離の語源・由来・漢字の意味
「乖離」という言葉は簡単なようで少し複雑な言葉です。そのため、漢字の言葉ではありますが、語源・由来について見ていきましょう。
乖離の漢字|乖は「そむく」、離は「離れる」を表す
乖離は「乖く(そむく)」「離れる(はなれる)」という言葉どおり、2つの関係がお互いに背き離れる状態のことを表す言葉です。
「そむく」には下記6つの意味があります。
① 人の意志にしたがわない。命令や意向に反する。
② 裏切る。反逆する。
③ (世間・人などから)はなれる。すてる。
④ 決まりなどに違反する。反する。
⑤ 予想される結果と反対になる。
⑥ うしろを向く。背中を向ける。
そむくという言葉は、人の命令や意向に反した行動を取ることを指すだけではなく、「裏切る」「離れる」といった意味も含まれています。
「音を仇で返す」「信頼を裏切る」「違反する」など、ポジティブな意味合いが含まれていない言葉が連想されます。
また、もともとは従っていたものや守っていた決まりに背を向ける意味があります。この場合、「叛逆」「離反」などとも似たようなニュアンスになります。
乖離の使い方と例文
乖離という言葉は、強く結ばれていた2つの物事が離れることを表す言葉。ですが、物事といっても様々なものが当てはまるため、ピンと来る人は少ないかもしれません。
「乖離がある/乖離している」の使い方と例文
- AさんとBさんの目的には乖離があり、意見がまとまらない。
- 理想と現実が乖離しているため成長できない。
- 予想と実際の結果には大きな乖離がある。
このように、物事や意見、予想と結果の差に関して「乖離がある/乖離している」と使います。
「乖離が激しい」の使い方と例文
特に著しく大きな差が見られたときや、ただ離れ離れになっているだけではなく大きく状況が動く乖離の場合には「乖離が激しい」という表現を使うことがあります。
- 人気と実力の乖離が激しい。
- 予想していた利益と実際の利益の乖離が激しい。
- 組織の上層部とそれ以外で、プロジェクトに対する士気の乖離が激しい。
乖離はもともと「ネガティブ」な状況や物事を表す言葉ですが、「激しい」という場合にはその差異が大きいことで何らかの問題が発生している場合であると考えられます。
「乖離しやすい」の使い方と例文
大きな差が発生しやすい物事を言い表すときには、「乖離しやすい」という言葉を使うことがあります。
- 彼のような性格の持ち主とは関係性が乖離しやすい。
- 彼は一般的な人と感性が乖離しやすい。
- 価値観がそぐわないと認識も乖離しやすくなる。
「乖離をなくす」の使い方と例文
乖離がすでに起きており、それを直そうとしたり修正したりしようとするときには、「乖離をなくす」という表現が使われます。
- 縦割り組織による目的の乖離をなくす。
- 会社の価値観の乖離をなくす目的で研修が行われる。
- 互いの認識の乖離を無くそうとした模索した結果、ますます状況が悪化した。
FX・株式投資用語における「乖離率」「乖離値」の使い方と例文
株式投資用語で「乖離率(かいりりつ)」という用語があります。「乖離率」とは、「株の価格(株価)が移動平均線からどれだけ離れているか?」を数値にして表した指標のことです。
株が市場で買われすぎているのか、売られすぎているのかといった動きを見るためには、「移動平均線からの離れ具合がどの程度か?」を見ることで判断することができます。
「移動平均線」とは、ある一定の期間で計算した価格の平均値を折れ線グラフで表した線のことで、その平均値は毎日計算するため「移動平均」と呼ばれています。
株の銘柄の傾向や動きをウォッチする重要な要素のひとつです。
参考:初めてでもわかりやすい用語集 移動平均線 (いどうへいきんせん) – SMBC日興証券
「○○が乖離する」の使い方と例文
「〇〇が乖離する」というときの〇〇に当てはまるものは、下記のようなものです。
- 心の距離
- 考え・意見
- 議論
- 人間関係
要するに、物理的なものの離反ではなく、抽象的な概念に関して用いることが多い言葉です。
それを踏まえたうえで、上記でご紹介した内容以外の、いくつかの例文を見ていきましょう。
そのほかの乖離の例文
- 会社の経営層と現場の社員の考えや方針が乖離してしまう
- 政治的関心が薄れ、民心が乖離する
- 募集要項のイメージと実際の職場の雰囲気が乖離している
- 理想と現実が乖離している
- 最近、彼/彼女とマンネリ化していて、気持ちが乖離しているように感じる
- 物価と賃金が乖離していて、景気が良くなっている感覚はない
どの場合でも、乖離という言葉は人の心や感情、その他の抽象的な物事に対して使われることが多いです。それ以外のこと(物理的に離れること)を表す場合は、その他の類語を用いて表現します。
乖離の類語・言い換え語|「離隔」「分離」「分立」など多数
乖離には様々な類語があります。ここでは、より一般的な言い換え語のほか、離隔・分離・分立などの類語について説明しています。
乖離の類語1|かけ離れている
甚だしく相違があることを「かけ離れている」と表現します。
乖離は、物事が背き離れていくことを表しているため、乖離する状況自体が「かけ離れている」と表現できますね。
乖離することによって互いの意見や考え方は甚だしく(大きく)かけ離れてしまいます。
乖離の類語2|ずれ
「ずれ」とは、そのまま「食い違っている状態」を表す言葉です。
意見や考え方が乖離することにより離れ離れになることは、異なる言い方をすれば両者の意見や考え方、方向性などが「ずれ」ているとも表現できます。
その他の乖離の類語一覧
- 離隔:物事が離れ隔たること
- 隔離:物事を離し隔てること
- 離別:人と別れて会えなくなること
- 分離:ものが分かれて離れること
- 隔絶:隔たり、かけ離れること
- 絶縁:関係を断ち切ること
- 分立:わかれて別々に存在すること
- 決別:(人間関係などで)きっぱりと別れること
シチュエーションによって上手に使い分けるためうえでは、解離、差異、乖離、離別、分離といった言葉を覚えておけば十分でしょう。
ただ、言葉選びを間違えるとまったく違う表現になってしまうため、注意が必要です。
乖離の対義語
乖離は離れ離れになることを表す言葉です。そのため、意見や物事が関わり合っていることや強く結びついていることを表す言葉が「対義語」になります。
乖離の対義語1|密接の意味
密接とは、物事の関係性が深いようすを表す言葉です。「AさんとBさんが目指す目標には違いがあるが、そこには密接な関係がある」という用に使います。
また、AとBという物事には密接な関連性があるなど、乖離している場合とは逆のケースを考える場合には、密接という言葉を用います。
乖離の対義語2|結束の意味
結束とは組織・チームや個人間における意見や志、目指す目標が同じであり、そのために一致団結していることを指す言葉です。
乖離している状態とは、人間関係や人それぞれ持っている意見が離れ離れになってしまっている状況を指しますが、それとは逆に、同じ意見や目標を前提として結びついている状態を指します。
乖離の対義語3|同調の意味
「同調」とは、他の人と同じ意見・考えに調子を合わせることを指す言葉です。
「付和雷同(自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調すること)」という言葉があり、同調は必ずしも良いことばかりではありません。
同調も放っておくと重大な乖離につながる恐れもあります。
乖離の対義語4|一致の意味
「一致」とは、2つ以上のものが食い違いなく同じになることを意味する言葉で、「意見の一致」「方向性の一致」などに用いられます。
行動、意見、考え方など、物事だけではなく抽象度の高いものに関しても同一であれば「一致」とされます。
乖離は意見や考え方、それらに基づく行動がかけ離れていることを指すため、一致とは正反対の意味になります。
乖離の英語表現|「separation」
主な英訳 separation
estrangement; alienation
〈分離〉 detachment; separation; dissociation.
「分離」「離反」などのほかの似た言葉を使う場合には、「分離(detachment)」「離反(estrangement)」などが挙げられます。
また、「絶縁(lose touch with~)」なども乖離と同じ文脈で使うことができます。
ここまで、「乖離」の本来の意味・定義を確認しながら、乖離の語源、例文、類語を参考に「乖離」の使い方やニュアンスを学んできました。
形式張った資料を書くときや、ビジネス文書を作成するときなど、乖離を使う場合があるかもしれません。市場や顧客のニーズに関して何らかの資料をまとめるときなどが該当するのではないでしょうか?
いつ使うか分からなくても、意味を知っておくだけで役立つ時があるかもしれません。そのときのために、ぜひ意味を抑えておきましょう。
転職したい?希望条件の転職先を探すための方法とコツ
ここでは、転職を少しでも検討している方に向けて、転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
1 転職サイト選びは慎重におこなう
これから転職活動を少しでも始めたいと考えている方の中には、まだ実際に求人情報を探し始めていない方がほとんどだと思います。
転職活動でいちばん大切なことは「どうやって転職求人を探すのか?」ということです。
しかし、転職サイトといっても様々なものがありますし、利用できる転職者のターゲットや、効果的な活用法が異なります。
転職サイト選びに悩んでしまう理由は、「そもそもなぜ転職サイトを使うべきなのか?」という根本が分からないからです。
下記記事では、転職サイトのランキングをご紹介しつつ、効果的な活用法や注意点について解説しています。
転職サイトを通じて求人を探したい方は、ぜひ下記記事を参考にして、自分に合った転職サイトを見つけてみてください。
おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 転職活動の全体の流れをおさえ、余計な不安を解消する
転職活動を始めたいけど、なぜか不安…そんなふうに思っている人が最初にやるべきことは「転職活動の全体の流れ」をおさえること。
たとえば、料理をするときは、レシピを全体を見て必要な材料を揃え、作り方の流れをある程度覚えてから実際に作り始めますよね。
それと同様に、転職活動も全体の流れを通して学び、その上で実際に始めることで、成功率が格段にアップします。
余計な不安を感じずに、前向きに転職活動をしたいなら、まずは転職活動の基礎知識を学びましょう。
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3 転職が初めてなら、「転職エージェント」を使うべき!
転職活動の流れは知っているけど、それでもまだまだ転職は不安…そう感じてしまう人もいるのではないでしょうか?
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まとめ|乖離の意味を正しく理解しよう
今回は、「乖離」の本来の意味や定義を解説した後に、乖離の例文や使われ方、そして類語との違いなど、解離のニュアンスを理解するための情報をご紹介してきました。
乖離はあまり多用されませんが、日常で使わない言葉ほど実際に使うときに困るものもありませんよね。あまり使わない言葉ほど学ばなければならないというのはちょっと皮肉ですよね。
しかし、覚えておいて損することではありませんし、ビジネス文書等を参考にする場合には乖離という言葉を覚えておくことにメリットがある場合も多いでしょう。
そのときのことを想定しつつ、ぜひ今回の記事を参考にしていただき、役立ててみてくださいね。
参考資料:かい り くわい- [1] 【乖▼離】 – Weblio辞書
参考資料:乖離(かいり)とは – コトバンク
参考資料:乖離(かいり)の意味 – goo辞書