「ガバナンス(governance)」には、どのような意味・定義があるのでしょうか?
ガバナンスは「コーポレートガバナンス」という言葉でビジネス現場でも利用されることの多い用語ですが、本来の意味は政治に関わるものです。
また、キャリアアップをするうえで、企業の統率が取れているのかを測る基準としても、コーポレートガバナンスの概念はとても大切になります。
そこで今回は、「ガバナンス」のビジネスシーンにおける用法や意味を解説していきます。ビジネス用語のひとつとしてぜひ覚えておきましょう。
「転職活動を始めたい」と少しでも考えている方は、ぜひ下記記事をご覧ください。
INDEX
「ガバナンス(governance)」の意味・役割とは?
「ガバナンス」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか?
ここでは、ガバナンスの本来の意味から解説していき、ビジネスシーンで活用されるガバナンスの意味までご紹介していきます。
「ガバナンス」の本来の意味・定義
「ガバナンス」の本来の意味は「統治」「支配」などを意味する政治的な言葉として用いられていました。今でも、政治に関する問題で取り扱われることがあります。
ガバナンス [1] 【governance】
統治。支配。管理。また,そのための機構や方法。
統治とは「組織を作り治める」ことを指します。たとえば、国を治めるためには、管理者と一定のルールを作り、人がその通りに動くように統率を取ることが求められます。
転じて、それがビジネスに使われるようになったのは「企業統治」という言葉が使われるようになってからです。
企業統治は「コーポレートガバナンス」とも呼ばれ、企業の管理に関する問題で問われることが多いです。
政治で使われるガバナンスの意味とは
「ガバナンス」は政治的な問題が発覚した局面でよく使われる言葉です。
たとえば、不正行為が発覚した象徴のトップや、その時期の内閣の大臣が「ガバナンスが不徹底だった」というように使います。
これは、具体的に言い換えると、組織で不正行為が行われることを防ぐためのシステムが組まれていなかった/不十分だった」ということを表しています。
この意味を知ると、何となく企業統治で使われるガバナンスの意味も理解しやすいのではないでしょうか。
ビジネスシーンで使われる「コーポレートガバナンス」の意味とは
「コーポレートガバナンス(企業統治)」とは、「企業を統率の取れた組織としてまとめあげること」を意味します。企業組織は様々な役職と従業員を、「利益」のために動員する組織です。
利益を出すためには、効率的に従業員が生産性を向上させなかがら働くだけではなく、損失を出さないようにムダを排除したり、不正行為を防ぐ仕組みを整える必要があります。
そのためには、経営者や株主、会社内の人材だけではなく、取引先などのステークホルダーも含めた統率が取れていることが大切です。
コーポレートガバナンスと切っても切り離せない用語には「内部統制」という言葉があります。
内部統制(ないぶとうせい 英:internal control)とは組織の業務の適正を確保するための体制を構築していくシステム(制度)を指す。すなわち、組織がその目的を有効・効率的かつ適正に達成するために、その組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用すること、ないしその結果確立されたシステムをいう。
内部統制とは、経営者であるトップから、一人ひとりの従業員に至るまで、会社組織に属する人材がいかに利益と社会貢献のために業務をおこなうことができるを評価するシステムです。
法令遵守(コンプライアンス)ができているか、企業の短期・中期・長期の方針が行き届いているかなども評価する基準になります。
特に、株式情報を果たしている会社では、企業の損失がイコール「株主の損失」になります。
そのため、企業統治が徹底されているのか、内部統制は取れているのか…ということをチェックされるのです。
コーポレートガバナンスのうち、内部統制はガバナンスの中心のような役割を持ちます。企業の内部統制が取れていない企業は、世間からの信頼を失い、業績も低迷することになります。
福祉ガバナンスの意味とは
介護・福祉業界でも「ガバナンス」という用語が使われています。福祉業界で使われる場合は「福祉ガバナンス」と呼びます。
日本の社会は超高齢社会を迎えていますが、介護保険制度が成立してからというもの、介護・福祉サービスは増加してきています。
民間の介護ビジネス・福祉ビジネスが増えてくる中で、高齢者の生活と健康を扱うためには企業の倫理観やコンプライアンスが重要になります。
そのため、福祉業界でも「福祉ガバナンス」という言葉で、企業統治と同じ仕組みが求められてきています。
ITガバナンスの意味とは
「ITガバナンス」とは、コーポレートガバナンスをITの側面から捉えた用語です。
コトバンクに示されているように、近年の企業では顧客情報を管理する手法に厳格性が求められてきています。
ITガバナンスは、コーポレートガバナンスをITの側面からとらえたものである。より具体的には、情報管理体制を堅固に構築するための企業統治を指す。近年、企業は、「顧客情報の管理」と「情報のセキュリティ」がますます重要になってきていると認識していて、ITガバナンスへの注目を強めている。
企業がITを活用したサービスを展開すると、必ずそれを利用するユーザーの情報を保存・管理することになります。
個人情報の管理は企業にとってリスクを伴うもので、万全のセキュリティ対策を施すことや、企業内部で不正に使われることがないように権限を明らかにしておくことが求められます。
そして、そのためにはITの側面から「企業のIT活用」を管理することが必要になります。
顧客情報はきちんと管理されているのか、リスクを避けるための万全な対策がなされているかをチェックする仕組み「ITガバナンス」は今後の社会でさらに厳しく求められるようになります。
ガバナンスとコンプライアンスの違い
ガバナンスと近い言葉には「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉があります。
コンプライアンスの意味を辞書からひいてみましょう。
コンプライアンス [4] 【compliance】
①(要求・命令などへの)承諾。追従。
②法令遵守。特に、企業活動において社会規範に反することなく、公正・公平に業務遂行することをいう。
③服薬遵守。処方された薬剤を指示に従って服用すること。
④〘物〙 ひずみと応力の比で表される物質定数。弾性率の逆数。物体の変形のしやすさを表す。
コンプライアンスには様々な意味がありますが、コーポレートガバナンスで使われるコンプライアンスとは「法令遵守」のことを指します。
企業統治をするためには、生産性を上げて利益を上げることだけではなく、不正行為の監視・防止を徹底することも含まれています。
また、近年では経済界で「企業の社会的責任(CSR)」が求められており、利益や業績を上げるだけではなく、社会に貢献する活動を推進することが奨励されています。
つまり、コーポレートガバナンスをするうえでは、企業が社会全体に利益を及ぼすことができるように、「法令遵守」をすることが以前より更に求められてきているのです。
ガバナンスの例文・使い方
企業統治の意味としてのガバナンスは、下記のような用法で使うことができます。
- 組織のガバナンス強化に取り組む。
- ガバナンスが不徹底であり不正行為の温床になっている。
- 大企業特有のガバナンスが求められる。
- 経営層の役割は企業のガバナンスにある。
- 各事業部長にガバナンスの強化が求められる。
ガバナンスの類義語
ガバナンスの類義語としては、下記のような言葉が挙げられます。
- 企業統治
- 支配
- 管理体制
より現場レベルの統制を表す場合には、ガバナンスではなく「マネジメント」で表したほうが分かりやすい場合もあります。「マネジメント」については、下記記事で解説しています。
おすすめ記事:マネジメントの意味とは?管理職初心者が知っておくべき定義と方法
「ガバナンス」を使う/使われるときの注意点
ガバナンスは、企業組織の体制について問題を提起したり、組織内部から統率が取れているかどうかを図るための指標になる便利なビジネス用語です。
しかし、ガバナンスを問題として議論する場合には、その本来の意味を伝えるために、むしろ「ガバナンス」を多用しないほうが良い場合もあります。
下記のポイントに従って、ガバナンスを使う/使われるときの注意点をチェックしましょう。
1 カタカナ語を多用しすぎていないか?
「ガバナンス」に限った話ではありませんが、カタカナ語を多用しすぎると、本来伝わることが伝わらないなど、コミュニケーションが阻害されてしまう可能性があります。
たとえば、コミット、ジョイン、アグリー、アサイン…など、場合によっては意味が伝わらない場合もあります。(もちろん、細かなニュアンスの違いを理解したうえで使うのは便利です)
そのため、カタカナ語と呼ばれるビジネス用語を多用すべきかどうかは、その都度チェックしたほうが良いでしょう。
2 言葉の意味をよく理解して使っているか?
今回ご紹介した「ガバナンス」のように、訳語と意味がほとんど同じ言葉の場合は、どちらを使っても問題ありません。
しかし、用語によっては言葉の意味をよく理解していないと、間違ったカタチで伝わってしまう場合があるので注意が必要です。
3 他の言葉で言い換えることはできないか?
「ガバナンス」であれば企業統治、「アテンド」であれば付き添うなど、ほかの言葉で言い換えたほうが伝わりやすいと判断したときに即座に言い換えることも大切です。
特に、専門的な商品・サービスを取り扱う営業で社内でよく使われている言葉を多用すると、取引先や顧客に悪い印象を与えてしまう場合があるので注意が必要です。
ここまで、ガバナンスを含めた「カタカナ語」と呼ばれるビジネス用語を使用するときの注意点についてご紹介してきました。
使い所を見極めればビジネス用語はとても便利なのですが、一方で使い所をひとつでも間違えればコミュニケーションがうまくいかない危険もあります。
本当に使うべきかどうかをきちんと判断したうえでビジネス用語を活用しましょう。
転職したい方必見!希望条件の転職先を探すための方法とコツ
ここでは、転職を少しでも検討している方に向けて、転職活動を始めるにあたって必ずおさえておくべきことをご紹介していきます。
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おすすめ記事:おすすめ転職サイトランキング!選び方や登録後の流れ、活用法まとめ
2 転職活動の全体の流れをおさえ、余計な不安を解消する
転職活動を始めたいけど、なぜか不安…そんなふうに思っている人が最初にやるべきことは「転職活動の全体の流れ」をおさえること。
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余計な不安を感じずに、前向きに転職活動をしたいなら、まずは転職活動の基礎知識を学びましょう。
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3 転職が初めてなら、「転職エージェント」を使うべき!
転職活動の流れは知っているけど、それでもまだまだ転職は不安…そう感じてしまう人もいるのではないでしょうか?
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まとめ|ガバナンスの意味を正しく知ろう!
今回は、「ガバナンス」のビジネスシーンにおける用法や意味を解説してきました。
「ガバナンス」はトップマネジメント・経営層が注意深く基準を作り判断する企業の体制づくりの根幹です。
ただし、1人のビジネスパーソンとしてガバナンスの意味をよく理解し働くことは、自分の人材としての市場価値をアップさせることにも繋がります。
今回の記事が、ビジネス現場を見る目を養う、ひとつのキッカケになれれば幸いです。