「アテンド」には、「(人に)付き添って世話すること」「接待すること」という意味の言葉があります。
アテンドは「世話をする」「同伴する」といった意味合いも含みますが、ビジネスシーンでの用法によって、細かなニュアンスには大きな違いがあります。
取引先との接待が多い職場で働いている場合には、上司から接待の準備などを指示される場合もあります。そういうときにアテンドという言葉が用いられます。
しかし、ニュアンスがわかりにくかったり、意味がしっかりつかめないのがカタカナ語の弱点です。自分が使わない場合でも、意味をしっかりおさえておくことが大切です。
そこで今回は、アテンドの意味や定義のほか、具体的な用法・使い方について解説していきます。少しでもアテンドの意味に不安が残っている方はぜひ参考にしてください。
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INDEX
「アテンド」の本来の意味とは?
アテンドの本来の意味は「(人に)付き添って世話すること/案内すること」「接待すること/介添え・付き添いすること」といった2つの意味があります。
下記は辞書による「アテンド」の定義です。
[名](スル)付き添って世話すること。接待すること。
引用:アテンド – コトバンク
アテンドには、「付き添い人として、誰かの世話をすること」を意味するケースと、「接待すること」を意味するケースの2つの意味が存在します。
下記では、それぞれの意味におけるアテンドの意味をさらに詳しく解説します。
アテンドの意味|人のそばに付き添ってサポートする「介添人」「付き添いする人」
介添え・付き添いをおこなう人物のことを「介添人」と言います。
結婚式で新婦に付き添う人のことを指すほか、旅行のバスガイド、観光地の案内係なども「介添人(かいぞえにん)」です。
また、介護におけるお世話係や障がいを持つ人のサポートをする役目を果たす人のことを「介添人」と言います。
どのようなシチュエーションであっても、人のそばに付き添ってサポートする役割を果たすことが「アテンド(英:attend)」になります。
アテンドの意味|「接待する」「付き添いをする」「出席する」「参加する」
ビジネスシーンで用いられる「アテンド」には「接待する」「付き添いをする」「出席する」「参加する」という意味もあります。
ビジネスシーンでは得意先への「接待」や、サポートする役割をするときの「アテンドする」という意味にもなっています。
誰かがメインで出席する場に自分もサポート役として一緒に行く、のような意味を持ちます。
上司のサポートを中心に仕事をおこなう若手社会人も多いです。「お供します」と同じような意味で使われると覚えておけばOKです。
日本語のアテンドと英語の「attend」の意味の違い
attendには様々な意味がありますが、そのうち日本語のアテンドの意味として活用されているのは「付き添う」「看護する」「出席する」の意味でしょう。
たとえば、「キャビン(フライト)アテンダント」のアテンダントは「attendant」で「世話をする人」を意味します。
英語圏における「attend」のビジネスシーンの使われ方は「看護師」「ベビーシッター」など、世話人や介護人などの世話をする職業についている人にサポートしてもらうケースだけです。
たとえば、ベビーシッターに子どもを見ていてもらうことに「attend」を使います。
アテンドの使い方・例文
カタカナ語「アテンド」には、各業界やシーン別に様々な使い方があるため、それぞれ別個に意味や使い方を例文とともに知ることが大切です。
ビジネス用語におけるアテンド
「上司の現地視察への付き添い」「取引先、お得意先などの接待」がアテンドに含まれます。
よって、付き添いやサポートが必要なシチュエーションでは「アテンドする」というと意味が通ることになります。
ただし、このような使い方は日本独特のものであることに注意が必要です。
アテンドはもともと英語なので、英語圏でも「attend」が用いられることがありますが、その意味合いは異なります。
ゴルフにおけるアテンド|キャディーがプレイヤーの世話をすること
ゴルフ用語のひとつとしてアテンドがあります。これは、「世話をする」の意味合いが含まれている使い方です。
ゴルフでは、ロングパットや地形によってホールが見えないときに、ホールのフラッグをキャディーに持ってもらうことを指します。
ゴルフ場をともに周りサポートしてもらうキャディーは、プレイヤーの世話をする役割を担います。よって、アテンドの意味に繋がりますね。
また、ホールが見えないときにフラッグを持ってもらい注目する点では、アテンションの意味に近いかもしれません。
旅行業・接客業におけるアテンド|サポート役を通して顧客満足を高めるサービス
接客業や旅行業界でもアテンドが多用されます。
接客業・旅行業における「アテンド」は、おもにサポート役を通して顧客にさらに満足してもらうためのサービスのことを指します。
下記は、旅行業におけるアテンドサービスの例になります。
旅行会社の担当者|「アテンドスタッフ」
旅行会社が提供するアテンドサービスには、旅行中に案内をしてくれるほか、各種の旅のサポートをしてくれる「アテンドスタッフ」と呼ばれる担当者が付き添いをしてくれるサービスがあります。
個人の旅行のみならず、会社の出張・視察といったビジネス旅行に関してもアテンドサービスがあります。
旅行に同伴する看護師|「アテンドナース」
団体旅行では、不意の怪我や手当、急病人などの看護が必要になる可能性があります。
その際に看護を行うため旅行に同伴する看護師を「アテンドナース(ツアーナース、添乗ナースとも呼ぶ)」と呼びます。
ホテルにおけるアテンド|宿泊客のサポート
ホテルスタッフは、宿泊しに来る客のサポートをおこなうのがメインの業務になります。
たとえば、部屋の手配や鍵の管理のほか、荷物持ちや駐車手伝い、客室案内など様々なサービスをおこないます。
こういった客の世話をするという役割を担うホテルスタッフの仕事も「アテンドサービス」です。
また、スタッフ間では「アテンドする」という用語の使い方をするケースもあります。
デパートにおけるアテンド|お客様の案内係
大手百貨店やデパートでのアテンドサービスもあります。
今では少なくなりましたが、デパートスタッフが客への要望を聞き提案したり、希望の商品が置かれている売り場へ案内したり…といった仕事がアテンドサービスに当てはまります。
普通のスーパーでおこなわれている売り場案内やクレーム対応なども、お客様のアテンドという意味では当てはまるのかもしれません。
ウエディング・ブライダル業界のアテンド|「アテンダー」
ブライダル業界には、「介添人(アテンダー)」というスタッフがいます。
主に披露宴や結婚式時に親父の世話をする人のことを指します。
挙式などでは、新婦の服装がとても重要です。ドレスの乱れや細かな要望に対処するためには、担当者としてアテンダーが付き、お世話する必要があります。
イベント業界におけるアテンド|案内係
イベントや季節行事、その他お祭りなどのイベント開催時のイベントスタッフを「アテンドスタッフ」「アテンド」と呼称する場合があります。
この場合のアテンドの役割は、イベントに参加するお客様の「サポート係」としての役目を果たすことになります。
具体的には、会場内での案内係や説明係、主催者の各種サポートなどが主な任務になります。
通訳・案内+世話係|「アテンド通訳」
「アテンド通訳」とは、海外現地での「通訳」だけではなく、案内係やその他のサポートを行う世話係としての役割も同時に担う案内人のことを指します。
アテンドの語源・由来・英語表現|「attend」
「attend」の英語本来の意味
アテンドの語源は、先ほども少し解説した通り、英単語の「attend」に語源があります。「attend」の本来の意味は、下記のようなものです。
- 出席する
- 参列する
- 随行する
- 付き添う
- 看護する
- 伴う
- 通う
「attend」の例文・イディオム
- attend a meeting:ミーティングに出席する。
- She attended her sick mother.:彼女は病気を患う母に付き添った。
「アテンドする」のビジネス英語表現
取引先の上司やビジネス関係の相手をサポートする日本のカタカナ語での「アテンド」を英語で表現するのであれば「attend」ではなく…
- take care of ~
- intorduce someone to ~
- take someone around
などで表現しないと、英語圏で「世話をする」「サポートする」のニュアンスで伝わりませんので、注意しましょう。
アテンドを使った熟語
アテンドは各種業界でそれぞれ微妙に意味する意味や役割が異なることを解説しました。
では、具体的にどのような熟語がビジネスシーンや日常生活で用いられているのかを見ていきましょう。
アテンドサービス
アテンドサービスとは、主に旅行業や接客業における「サポート係」を表す言葉です。
一般的には、デパートや百貨店などでお客様のお買い物に対するサポートをおこなう係のことや、旅行会社におけるバスガイドなどが「アテンドサービス」となります。
どちらも、お客様の目的・手段に合わせて、各種サポートをおこなう点で共通しており、ホスピタリティが求められる職業であると言えます。
アテンドスタッフ
アテンドスタッフは、主にイベント・行事などにおける「運営スタッフ」を指すときに用いられる「案内係」を意味する言葉です。
また、各種業界でも「お客様のサポートをする役割」を総じてアテンドスタッフと呼称する場合があります。
具体的な業務内容は、それぞれの組織・団体やイベントなどの目的・内容により様々なものがあり定義は曖昧ですが、一般的には「お客様の案内や説明、サポートをする役割」であると考えると良いでしょう。
アテンドナース
アテンドナースとは、旅行業において、旅行に同伴する看護師のことを指す言葉で、別名は「ツアーナース」と呼びます。
旅行中の不測の事態である「旅行者の急病・怪我」等のトラブルに際して、病院に送り届けるまでの応急処置を施す役割を担います。
フライトアテンダント
フライトアテンダントは、別名「客室乗務員」「キャビンアテンダント(CA)」とも呼ばれる職業です。
主に、旅客機でのフライト中に乗客のサポート・案内をおこなう役割を担い、ホスピタリティが求められます。
アテンドと似ている言葉一覧
アテンドには、その言葉自体の使い方が多様であることも注目すべきですが、似ている言葉が多くあることもまたおさえるべきポイントです。
特に、ビジネスシーンでは言葉の間違いはできる限りなくしておきたいもの。ここでは、特に間違いが起きやすい言葉をご紹介し、解説しています。
「アテンド」と「アテンダント」の意味の違い
「アテンド」は英語「attend」を語源とする動詞、「アテンダント」は英語で「attendant」を語源とする形容詞です。
つまり、「attendant」は「同伴の」「付き添いの」という意味を持つ言葉になります。
たとえば、「アテンドナース」は「attendant nurse(同伴の看護師)」などとなります。
日本語・カタカナ語における「アテンド」は、「attendant」の形容詞としての使い方をシンプルに動詞と一緒に使っていると理解すればわかりやすいと言えます。
つまり、もともとの定義に照らし合わせた際には、意味に違いがあるわけではありません。
「アテンド」と「アサイン(英:assign)」の意味の違い
アサイン(英語:assign)とは、「割り当てる」「任命する」「指定する」「付与する」などの意味を持つ英単語です。
ビジネスシーンではカタカナ語で「アサインする」が使われることがあります。
意味はカタカナ語の場合も英語と同様であり、たとえば「Aさんをマネージャーにアサインする」という場合は、「Aさんをマネージャーに任命する」という意味になります。
アテンドとアサインの違いは、「案内人やスタッフとして同伴すること」がアテンドであるのに対し、「職種などに誰かを任命すること」がアサインであるという違いがあります。
「アテンド」と「エスコート」の意味の違い
エスコートとは、「帰路や社交の場で、男性が女性に付き添うこと」を意味する言葉です。
「付き添い」という意味では、アテンドとエスコートには意味に共通しているところがありますが、具体的な使われるシーンやシチュエーションには大きな違いがあります。
エスコートには、儀礼として「女性のことを男性が付き添い、護衛する」という意味があります。一方、アテンドにはそのような儀礼的意味はありません。
「アテンド」と「ガイド」の意味の違い
アテンドの使い方のうち、「アテンドスタッフ」のような「案内係」を意味する役割と同じ意味を持つ言葉が「ガイド」です。
アテンドには「付き添い」などの意味がありますが、「ガイド」の場合は「案内する」「案内人」などの意味に限定されている点に違いがあります。
そのため、「アテンドスタッフ」に「バスガイド」当てはまりますが、「上司に付き添いすること」は「ガイドする」とはならないのです。
「アテンド」と「アテント」の意味の違い
アテンドと似ている言葉には、「アテント」があります。
アテントとは、スペイン語の「atento」を語源としており、「丁寧な」「思いやりのある」という意味があります。
日本語・カタカナ語としてスペイン語を語源とする「atento」が用いられることはほぼありませんが、大王製紙が販売する大人用・介護おむつの商品名「アテント」には、英語の「世話する・介護する」という意味の「attend」と、スペイン語「attento」の両方の意味の両方に由来があります。
アテンドの同義語・類義語・言い換え語
アテンドの同義語・類義語としては、先ほど解説した介添人以外にも種類があります。
- 案内人
- 世話役・世話人
- 補佐役
- 随行員
- 同伴者
同義語・類義語をおさえておけば、仮にビジネスシーンで「アテンド」を使われても、そのニュアンスが分かるでしょう。
シーン別 アテンドの使い方
ここでは、アテンドを用いた例文を主にビジネスシーンから切り取ってご紹介していきます。自分が使わなくても、ビジネスシーンでは誰かがアテンドという言葉を使うことは十分ありえます。
雑談で使うことはあまりないと思いますが、商談や重要な会議内容で、用語の認識に差があると思わぬ誤解が起きてしまい、判断を間違えるケースもあるので、用法を知っておきましょう。
「取引先をアテンドする」
「取引先にアテンドする」とは、「取引先を接待するための準備をする」「取引先をもてなすための用意をする」というニュアンスになります。
たとえば、接待であれば会食の準備や店の確保のほか、道案内や事前連絡、交通手段の確保など、戦法に連絡すべきことはたくさんあります。
アテンドする担当者を決めておけば、それらの業務に間違いがないように管理することもできます。
「通訳者・案内係にアテンドしてもらう」
通訳者のサポートを受けたり、旅行や出張などで案内をしてもらったりする場合には、アテンドを受ける側なので「アテンドしてもらう」になります。
アテンドには、付き添うという意味合いがあるため、「付き添ってもらう」というニュアンスになりますね。
「ウェディング業界のアテンドスタッフ(アテンダー)に依頼する」
結婚式・披露宴、その他イベントのサポートスタッフはアテンダーです。食事を運ぶスタッフや会場案内のスタッフなど、客をサポートするスタッフはすべてアテンドしていることになります。
また、結婚式や披露宴は演出がとても重要です。
当日の演出のために事前に何度か打ち合わせを行なったり、新郎新婦の要望をヒアリングしたうえで準備を開始するのも、アテンドに含まれます。
「アテンドナースに同伴してもらう」
アテンドナースは旅行に同伴してツアー団体客の看護をおこなう看護係のことです。ツアー客と一緒に旅行先に出向き、ケガや病気などの看護を担当します。
ここまで、アテンドの様々な用法について解説してきました。
今回ご紹介したアテンドの用法以外にも、ビジネスシーンを中心に用いられるタイミングがきっとあると思います。
特に、得意先や取引先との関係性を保つための仕事をしている方にとっては、耳にすることが多い用語かもしれません。
ただし、微妙にニュアンスが間違っていたり、ニュアンスが伝わりきれていないケースもあるので、ビジネスシーンで正確なコミュニケーションをしたい場合には、アテンドを避けて他の言葉で言い換えたほうが無難です。
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まとめ|アテンドの意味を正確に知ろう!
今回は、アテンドの意味や定義のほか、具体的な用法・使い方について解説してきました。
アテンドという言葉は微妙なニュアンスが含まれやすい言葉なので、自分で使う場合だけではなく、上司や同僚からアテンドという言葉を使われたときにも注意が必要です。
今回の記事内容を参考に、アテンドの用法についてしっかりおさえておきましょう。